米国家安全保障局(NSA)は公表されているより広範囲を追跡可能なネットワークをすでに構築しており、米国インターネット通信の75%を監視できると、米Wall Street Journalが現地時間2013年8月20日に報じた。

 Wall Street Journalが現職および元当局関係者から得た情報によると、NSAは米国人同士でやりとりする電子メールの内容、インターネット上で行われた国内通話を確認できるという。

 NSAは外国のスパイやテロ活動防止を目的として、米国のインターネット通信を傍受する限定的な権限を与えられている。通信会社の協力で行われるNSAの監視プログラムは、発信者または受信者が外国である通信、あるいは両者が外国であるが米国を経由する通信を追跡するよう設計されているが、その際、純粋な国内通信が偶然収集される可能性が高いと、当局者は説明している。

 監視プログラムは通信会社に応じてそれぞれコード名が付けられており、米AT&Tの場合は「Blarney」と呼ばれているという。情報を収集するポイントは米国内に十数カ所設けられ、NSAはこうした活動について「合法であり米国民のプライバシーを尊重している」と主張している。

 またこれとは別に、米国家情報長官が機密解除を認めた文書が8月21日に公開された。NSAが2011年に米外国情報監視裁判所(FISC)に提出した報告書によると、NSAはそれまで3年間にわたり数千件にのぼる米国アカウントの電子メールを入手し、同年には米国人による5万6000件のインターネット通信を意図せず収集したという(米USA TODAYの報道)。