元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏から入手した資料をもとに、米政府の情報収集活動に関する暴露記事を掲載した英紙「Guardian」は、英政府から資料の引き渡しまたは破棄を迫られたことを明らかにした。

 Guardian編集者のAlan Rusbridger氏が現地時間2013年8月19日に同紙のオンライン版に掲載した記事によると、2カ月以上前に英政府高官から接触があり、米政府の監視活動に関する資料を引き渡すか、破棄するよう迫られた。

 約1カ月前には英政府の中枢人物から「例のものを返してほしい」との電話を受け取り、いっそう厳しい事態となった。複数回の会合を持つ中で、Rusbridger氏が引き渡しまたは破棄しなければ法的措置をとるつもりか尋ねると、相手はそれを認めたという。

 その後、英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)から2人のセキュリティ専門家が立ち会い、Guardianのオフィスの地下で資料を格納したハードディスク装置の破壊が行われた。

 Rusbridger氏は、「英政府は満足したが、デジタル時代をまったく理解していない無意味な行為に思える。われわれは今後もSnowden氏の資料にもとづいて徹底した報道を続ける。ただしロンドンからではない」と、資料のコピーが別の所に保存されていることを示唆した。

 またRusbridger氏は、米国家安全保障局(NSA)の監視活動に関する暴露記事を執筆したコラムニスト、Glenn Greenwald氏のパートナーであるDavid Miranda氏が、8月18日にロンドンのHeathrow空港で、英国の対テロ法に基づき一時拘束されたことも明らかにした。Miranda氏は9時間にわたって尋問を受け、ノートパソコン、メモリードライブ、携帯電話、カメラなどを押収されたという。

 Greenwald氏は「英国(政府の活動)について、さらに多くのことを発信していく。私には、英国諜報システムに関するたくさんの資料がある」と述べた。またMiranda氏が所持していたメモリードライブの中身はすべて暗号化されているという(米New York Timesの報道)。