ソフトウエアの体系的な再利用に関する方法論「ソフトウエアプロダクトライン工学(SPLE:software product line engineering)」の国際学会「SPLC(International Software Product Line Conference)2013」が、2013年8月26日~8月30日に掛けて東京都内の早稲田大学で開催される。

 SPLCは主に欧州や米国で開催されてきた国際学会で、今回が17回目。過去には2007年に1度だけ日本国内(京都)で開催されたことがあり(関連記事)、今回は6年振りの国内での開催となる。

 全体で34件の論文発表があり、内訳は研究論文が18件、事例論文が10件、ツール関連の発表が6件である。日本からは、日立製作所・日立電線(日立金属)が1件、日立製作所・早大が1件、大阪大学が1件を発表する。

著名研究者が企業に移籍し発表

 SPLEは、さまざまな製品群での計画的なソフトウエアの再利用、そのためのアーキテクチャを設計するための方法論である。概念が提唱された当初は、組み込みソフトウエア分野での実践例が多かったが、最近はエンタープライズ分野での事例も出てきている。

 例えば、欧州におけるSPLE研究の一大拠点である独Fraunhofer Institute for Experimental Software Engineering(IESE)の研究者だったDirk Muthig氏が、独Lufthansa Systems社に移籍し、今回は同社から事例論文を発表予定である。

 SPLの概念を提唱した米Carnegie Mellon University(CMU)のSoftware Engineering Institute(SEI)への留学経験を持ち、SPLC 2013のIndustry Track Program Committeeを務める野村総合研究所の石田裕三氏によると「今回は“Beyond SOFTWARE Product Line”というセッションが設けられるなど、教科書的なSPLEの枠を超えて、SPLEの適用範囲やコミュニティーが広がりを見せている」という。

 例えば、SPLの提唱者の一人として著名なCMU SEI出身の研究者Paul Clements氏は、現在はSPLE向けのツールベンダーの米BigLever Software社に在籍しており、今回のSPLC 2013では米陸軍向けのSPLにSOAを適用した事例を発表する。

 SPLC 2013への参加申し込み締め切りは当初8月20日としていたが、主催者側は締め切りを延長し、会期中の参加申し込みも受け付けることにしたという。