セイコーエプソンは2013年8月7日、プロジェクターの新製品として、10万円以下のフルHD、3D対応モデルなど家庭向けと企業向け合わせて10モデルを発表した。同日発表会を開催し、市場シェアの動向やプロジェクター製品群の販売戦略などを明らかにした。(関連記事:エプソン、10万円以下の3D対応機など、プロジェクター10モデルを発売)
プロジェクターの国内販売戦略は、エプソン販売取締役の中野修義販売推進本部長が解説した。国内市場では販売台数が横ばいだったが、2012年は伸びて19万6805台になった。「市場を引っ張ったのはエプソン。シェアが2010年から拡大し2012年には56%になった」(中野本部長)。エプソンのラインアップの中では、電子黒板としての需要がある文教市場と、安価な「ローエンド」の市場が伸びているという。
この2つの市場に向けた製品に加え、販売構成比としてはまだ少ないものの拡大している「高光束」モデルと、これから伸ばす「ビジネスインタラクティブ」モデルによってプロジェクター事業を成長させたいとした。
高光束モデルはイベントホールや大会議室向け。「エプソンにとっては未開拓の市場。パナソニックの独壇場だった。2012年3月に発売したZシリーズでその牙城を崩しつつある。2012年のシェアは12%にとどまったものの、2013年3月に出したGシリーズにより2013年は20%へと伸ばしたい」(中野本部長)。ビジネスインタラクティブは電子黒板機能を備えたプロジェクターで、「文教市場向けは多いが企業向けはエプソンだけ」(中野本部長)。発売後2カ月で300台と販売台数はまだ少ない。2013年中に4000台を販売することを目標にしている。
文教市場は、文部科学省の教材整備指針に沿って電子黒板を全教室に配備することになっている。こうした流れで、市場の成長率を150%と見込んでおり、現在のシェア64%からさらに伸ばすとした。ローエンドは、今回発表した「EH-TW410」などで市場を拡大する。EH-TW410は1280×800ドット対応、2800ルーメン、コントラスト比1万2000対1の企業向けながらも実勢価格が6万円と比較的安く、家庭でゲームや映画を楽しむにも向いているとした。
ホームシアターの市場は2012年時点で1万7195台という規模。エプソンは2009年のシェア60%から2011年は47%まで落ち込んだが、2012年は53%と回復基調にある。「市場開拓が最大のテーマ。ヘビーユーザーからコスト重視のユーザーまで全ての層に向けた製品を出す」(中野本部長)。今回は、フルHD(1920×1080ドット)と3D表示に対応して10万円を切る「EH-TW5200」など、5モデルを出した。
新製品の販売施策上の訴求ポイントは、エプソン販売VPMD部長の柳田貴之氏が説明した。企業向けは、1280×800ドット対応モデルが6万円からという価格の安さや、明るさ2800ルーメン以上でA4サイズ、2.4kgと小型・軽量な点、補正機能が優れている点、オプションの無線LANユニット(実勢価格は約8500円)でスマートフォンやタブレットにも対応できる点を主に訴求する。家庭向けは、全モデルを「明るい高画質、明るい3D」としてアピールするほか、低価格モデルは10万円未満でフルHDと3Dに対応する点、上位モデルはエプソン製品の中で最も画質が良い点や超解像機能やフレーム補完機能の3D対応を売りにするとした。