会員制の転職支援サイトを運営するビズリーチは2013年8月7日、キャリア・マネジメント・システムを新たに開発したことを発表した。同システムを通じて、ビズリーチの会員20万人の属性や職務経歴書、および採用企業やヘッドハンターの利用動向を基に、会員向けに解析結果を開示する。

 ビズリーチ代表取締役の南壮一郎氏は、「このサービスは、自分自身の転職活動で不便だと感じた原体験がきっかけとなった」とする。自分と同じような経歴を持った人がどんな転職しているのか、キャリア形成のプロセスの中でどこに立っているのか、業界や市場ではどういうものが求められているのかが一切分からず、ごく限られた情報の中で転職活動していたのではないかという体験が基になったのだという。「本来、求職者と企業が直接行うべきやりとりが、ヘッドハンターや既存の転職サイトによってブラックボックス化されていると感じた」(南氏)。

 今回ビズリーチが提供するのは、「旬の検索キーワード」「スカウト需要の年齢ランキング」「レジュメビルダー」「スカウトメール」の4種類のサービスである。

 旬の検索キーワードでは、業界や職種ごとの旬のキーワード100位を公開する(写真1)。これは、採用企業やヘッドハンターが、職務経歴書の中で検索する単語を基にランキングしたものである。このランキングを通じて、会員は転職市場のトレンドをつかみ、「検索にひっかかりやすい」職務経歴書を作成できるようになる。

写真1●業界や職種別を選ぶと、旬のキーワードが表示される
写真1●業界や職種別を選ぶと、旬のキーワードが表示される(表示されるのは8月8日から)
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 スカウト需要の年齢ランキングでは、採用企業やヘッドハンターがどの年齢の求職者をスカウトしているかを公開する(写真2)。これにより、年齢の需給バランスを知ることができる。

写真2●年齢別の求職者が一覧できる
写真2●年齢別の求職者が一覧できる
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 レジュメビルダーは、会員が経歴を的確にアピールするための職務経歴書作成ツールである。会員はフォームに従って必要事項を記入すると、コアスキルや職務要約、資格などの必要情報がまとまった職務経歴書が完成する。「多くの経歴書を研究した結果、会員が、企業やヘッドハンターに最もアピールできるフォームにした」(ビズリーチ)とする。

 スカウトメールは、採用企業やヘッダハンターからスカウトメールを受信し、自身の市場価値を把握できる。興味のある企業やヘッドハンターにはコンタクトできる。

 求職者は、今回の一連のサービスにより提供されるサービスを使うことによって、業界状況や自分自身の市場価値を知り、キャリアの棚卸しをして、実際のフィードバックが得られるという「キャリアマネジメント」が可能になる。南氏は、新システムによる体験を健康診断に例える。「健康診断も、たくさんの受診データを集めることで、平均値に対する比較が可能となり、健康かどうか判断できる」。

 今回のシステムの中核となる検索キーワードの抽出や解析機能は、ビズリーチが自社開発した。「他社が開発したソフトウエアも試してみたが、アルゴリズムをブラックボックス化するよりも自社開発した方がいいと思った」(同社取締役 CTOの竹内真氏)からだという。今後、実際のユーザーに利用してもらい、その活用に応じて調整していくとしている。