米Washington Post Companyは現地時間2013年8月5日、主力紙「Washington Post」を含む新聞発行事業を米Amazon.comの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるJeffrey Bezos氏に2億5000万ドルで売却することで合意署名したと発表した。Bezos氏が個人として同事業を買収するもので、Amazon.comとしてではないと強調している。

 Washington Post CompanyのDonald Graham会長兼CEOは「ここ数年、新聞業界に厳しい状況が続き、Washington Post紙にとって別のより良い所有者がいるのではないかと考えるようになり、売却を決意した」と説明。Bezos氏の技術および経営の才能、長期的なアプローチ、人格などから新たな所有者としてふさわしいと判断したとしている。

 Bezos氏は「ワシントンD.C.で、そして米国でWashington Post紙が果たしている重要な役割を理解している。同紙の価値は変わらない」と述べた。

 Bezos氏はまた、Washington Post紙のCEO兼発行人であるKatharine Weymouth氏、社長兼ジェネラルマネージャーのStephen Hills氏、編集長のMartin Baron氏、社説面担当編集者のFred Hiatt氏に現職を続けることを望んでおり、Weymouth氏は「喜んで引き受ける」としている。

 Bezos氏が取得する事業にはWashington Post紙のほか、「Express」「Gazette Newspapers」「Southern Maryland Newspapers」「Fairfax County Times」「El Tiempo Latino」「Greater Washington Publishing」が含まれる。手続きは年内に完了する見込み。Washington Post Companyは社名を変更するが、新たな名称はまだ決まっていない。

 Washington Post紙はウォーターゲート事件を追及したことで名声を獲得し、1993年のピーク時には発行部数が83万2332部に達した。しかしほとんどの新聞と同様に読者数と広告収入の減少に悩まされている。2013年3月時点の発行部数は47万4767部で、2月にはWeymouth氏が本社ビルの売却を検討していることを明かしていた(米New York Timesの報道)。

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