写真1●NetApp Connectの利用画面(PowerPoint資料を閲覧しながらマーカー機能を使っている)
写真1●NetApp Connectの利用画面(PowerPoint資料を閲覧しながらマーカー機能を使っている)
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写真2●背景説明をする、ネットアップでマーケティング本部戦略企画推進室室長を務める篠木隆一郎氏
写真2●背景説明をする、ネットアップでマーケティング本部戦略企画推進室室長を務める篠木隆一郎氏
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 ネットアップは2013年8月5日、外出先のモバイル端末から社内の機密文書ファイルを安全に閲覧するためのゲートウエイソフト「NetApp Connect」(写真1)を発表、同日提供を開始した。モバイル端末側に文書ファイルを送ってレンダリング(描画)する方式でありながら、専用ソフトの採用や暗号化通信などによって情報漏えいを防止する。

 社外から社内の文書ファイルを閲覧する機能に特化したゲートウエイソフト。オフィス文書(Word/Excel/PowerPoint)やPDF、各種画像(JPEG、GIF、TIFF、その他)、動画(mp4)を、社外のモバイル端末上で閲覧できるようにする。閲覧時には、ページ送りや拡大縮小などの基本操作に加え、手書きの線をオーバーレイ表示するマーカー機能を備える。自身が付けたマーカー情報を他者と共有する使い方も可能である。

 ソフトウエアは、以下の3つのモジュールで構成する。1)モバイル端末上で動作するクライアントソフト、2)社内LAN上に設置するサーバーソフト、3)DMZ(非武装地帯)ネットワークに置いてクライアントとサーバーの通信を仲介するブローカーソフト---である。社内のサーバーからDMZ上のブローカーに対してコネクションを張る仕組みにより、クライアントはブローカーを介してサーバーと情報をやり取りできる。

 サーバーは、社内LAN上にある任意のファイルサーバー(CIFS)にアクセスし、ファイルサーバー上にある文書ファイルを閲覧できるようにする。ライセンス上、利用できるファイルサーバーは米NetApp製のFASシリーズに限られる。これらの文書ファイルをそのまま、ブローカーを介してクライアントに転送する。文書ファイルのレンダリングは、クライアント上で直接実行する。

 クライアント(モバイル端末)側に文書ファイルを転送する仕組みでありながら情報漏えいを防止できる理由はこうだ。まず、通信経路を暗号化している(HTTPSを使用)。さらに、クライアントソフト上では、文書ファイルをローカルストレージに保存しない仕様としている(ローカル側に文書ファイルを保存するオフラインモードも選択可能)。これにより、クライアントソフトを起動してサーバー側のユーザー認証に成功しない限り、文書ファイルを閲覧できないという。「デモ版では、国内金融機関からの評判が良かった」(同社マーケティング本部戦略企画推進室室長の篠木隆一郎氏、写真2)という。

 参考価格は、サーバーの接続先であり文書ファイルの保存先であるNetApp FASシリーズのコントローラー1台当たり、100万円程度から。稼働環境は、クライアントソフトがiOS端末(iPhone/iPad)で、Android用の提供も予定している。いずれも、それぞれのマーケットを経由してダウンロードできる。サーバーソフトとブローカーソフトの稼働OSは、Windows Serverである。