米国家安全保障局(NSA)は事前許可無く個人のほぼすべてのオンライン活動を確認できる。英紙「Guardian」は現地時間2013年7月31日、米政府の監視活動について新たな情報を暴露した。

 元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏から提供された書類によると、NSAは「XKeyscore」と呼ぶプログラムを使って、メタデータだけでなく電子メールやチャットの内容など、広範な情報をインターネットから収集できるという。

 同紙が6月10日に米政府の監視活動について最初に報じた際、Snowden氏はインタビュービデオで「私は机の前に座り、誰でも盗聴することができた。個人の電子メールアドレスがわかれば、あなたやあなたの会計士、連邦判事、さらに大統領でさえも」と語っていた。

 米政府高官はこれに激しく反発し「Snowden氏は嘘をついている」と否定していたが、Guardianが入手したXKeyscoreのトレーニングマニュアルは、NSAの分析員がXKeyscoreのシンプルな入力フォームからリクエストするだけで、個人の電子メールの内容、訪問あるいは検索したWebサイトなどを確認できることを示している。

 電子メールアドレスが分からなくても、氏名、電話番号、IPアドレス、キーワードから検索することが可能だ。リアルタイムでオンライン活動を傍受することもできるという。入手文書によると、2008年の時点で米政府はXKeyscoreを使用して300人のテロリストを摘発した。

 NSAは、「XKeyscoreはNSAの合法的な外国諜報活動対策システムの一部に使われている」とXKeyscoreの存在を認めた。しかし「NSAの分析員が事前チェック無しでデータにアクセスできるという報道が広まっているが、それは真実ではない」と反論し、「こうしたプログラムは、国家を防衛し、米国とその同盟国を保護するという使命を遂行するための情報収集を可能にするものだ」と説明した。

 なおSnowden氏に関しては、ロシアで一時的な亡命が認められたことを、内部告発サイト「WikiLeaks」が8月1日に伝えている。