写真1●2013年4~6月期連結決算を説明する福田尚久副社長兼CFO(2013年8月1日)
写真1●2013年4~6月期連結決算を説明する福田尚久副社長兼CFO(2013年8月1日)
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写真2●主力の月額課金型SIMの回線数と解約率の推移
写真2●主力の月額課金型SIMの回線数と解約率の推移
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 MVNO(仮想移動体通信事業者)の日本通信は2013年7月31日、2014年3月期第1四半期(2013年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比13.3%増の10億4600万円、営業利益は同12.1%増の8200万円で、増収増益だった。

 通期予想に対する進ちょく率は売上高が約23%、営業利益は約13%。営業利益は見通しよりも遅れているが、NTTドコモのパケット接続料を巡って総務大臣の裁定を申請した件(関連記事)で日本通信の主張が認められれば「想定を上回っている水準。順調に推移している」(福田尚久副社長兼CFO、写真1)とした。

 主力の月額課金型SIMの回線数は4~6月期で5万6452件(写真2)。今回初めて開示した解約率は6.7%と大手携帯電話事業者に比べて高いが、「一部の製品を除き、契約期間の縛りを設けていないことを考えれば良い水準」(福田副社長兼CFO)とする。月額980円からといった安価な製品を提供しているにもかかわらず、平均単価も2490円と高い。「データ通信だけを対象としたサービスは様々なMVNOが展開するが、音声通話を含むとなると、ほぼ我々が選ばれる。通話料などの貢献も大きい」(同)とした。

 一方、“通信電池”として利用権をプリペイド型で提供する製品も根強い需要があり、4~6月期の新規販売数は4万7569件。外国人旅行者向けの「VISITOR SIM」などが好調で、平均単価も2800円と高水準を保っている。

 総務省によると、2012年12月末時点のMVNOは354社。携帯電話事業者は大手3社で寡占化が進むが、MVNOは競争が激しくなる一方。今後も「大手3社や他のMVNOが提供できない、または提供したくないサービスを手掛けていくことで差異化を図っていく。それを支える技術基盤は確立できている」(福田副社長兼CFO)。

 もちろん、日本通信単独ですべてを手掛けるのではなく、パートナーと組みながら個々のソリューションを作っていく。福田副社長兼CFOは「差異化したソリューションを提供する企業が3年後に200社あると想定すると、その半分の100社を支援したい」と意気込みを語った。