写真●NECの川島勇CFO(最高財務責任者)
写真●NECの川島勇CFO(最高財務責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは2013年7月31日、2013年4~6月期の決算説明会の場でスマートフォン事業からの撤退理由について説明した。

 会見した川島勇CFO(最高財務責任者、写真)によると、NECカシオモバイルコミュニケーションズの4~6月期の「携帯電話出荷台数は45万台と、前年同期の80万台から減少した」。これにより、同社の4~6月期営業損益は前年同期から約30億円悪化し、90億円程度の赤字になった。「スマホへの取り組みが遅れ、魅力ある商品の開発ができなかった」と川島CFOは語った。

 NECは以前から中国レノボ・グループなどと提携交渉を進めてきたが、出資比率などの条件で折り合えなかった。NECカシオは2013年3月期まで3期連続で営業赤字を続けており、2014年3月期も150億円の営業赤字を見込んでいた。交渉が不調に終わったことなどから、単独での事業展開は難しいと判断した。

 なお、従来型携帯電話については、一定の需要が見込めるとして生産を継続する。4~6月期の出荷台数のうち「約55%を従来型携帯電話が占める」(川島CFO)という。タブレット事業についても継続する。

 同日発表した2013年4~6月期連結決算は、売上高が6401億円(前年同期比1.4%増)、営業損益は218億円の赤字(同139億円悪化)だった。官公庁向けや流通・サービス業向けのITサービスが好調で増収を確保した一方で、ハードウエア関連で赤字が拡大した。

 通期の連結業績予想は売上高が3兆円、営業利益が1000億円と、4月に発表した数字を据え置いた。スマホ事業撤退による「当期業績への影響については現在精査中で、上期中をめどに見極めたい」と川島CFOは述べた。