ネット行動分析サービスのヴァリューズ(東京都港区)は2013年7月26日、7月21日投開票の参院選のネットユーザーの意識と行動の変化の調査結果を発表した。各党Webサイトへの流入元の分析で、自民党がソーシャルやアドネットワークを活用した巧みなメディア戦略を展開していたことが分かった。

 同社のマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使って「ネット選挙解禁」による変化を調べた。それによると、自民党Webサイトの流入元は広告以外の自然検索「検索(Organic)」経由が45.9%、FacebookやTwitterなどの「他サイト(広告以外)」経由が17.5%、バナー広告などの「他サイト(広告)」経由が12.0%だった。特に、「検索(Organic)」経由の流入数は民主党の約2.8倍で、他党にも大差をつけていた。

 また、検索されたキーワードの分析では、「自民党」の流入数が「民主党」の2倍以上を獲得。上位10ワードをみると、自民党は党名や「参議院選挙」など、よく検索されるキーワード(ビッグワード)をリスティング出稿して、流入数を確保したことが分かった。

 さらに、ネット広告も、Yahoo!バナー広告、ダブルクリック・アドエクスチェンジ、グーグル・アドセンスなどを併用。多数のユーザーへのリーチ量を確保していた。特に多かったYahoo!バナーとアドエクスチェンジ経由の7月1日~21日の推計UU(ユニークユーザー)流入数は、ともに3万超だった。

 同社は、自民党がWebサイトなどの「オウンドメディア」(所有するメディア)、ネット広告などの「ペイドメディア」(買うメディア)、SNSなどの「アーンドメディア」(評判を得るメディア)の3メディアを戦略的に活用したと分析している。

 また、東京選挙区で当選した山本太郎氏(無所属)のWebサイト訪問者数(UU)は10万超で、選挙序盤と投票前日に急伸。Facebookの訪問者数でも約1万で他候補を引き離すなど、積極的にソーシャルを活用した。一方、ネット選挙運動を展開したが落選した比例区の伊藤洋介氏(自民)は、前半戦こそ訪問者数を集めたが終盤で失速していた。

 ネット選挙の効果としては、投票後のアンケートで「投票した」と回答した人は、「投票しなかった」人に比べ、政党・候補者サイトへのサイト接触率が全世代で10ポイント以上高かった。