写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
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写真2●“ツートップ”端末の最新販売状況とその内訳
写真2●“ツートップ”端末の最新販売状況とその内訳
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 NTTドコモは2013年7月26日、2013年度第1四半期(2013年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.9%増の1兆1135億7300万円、営業利益は同5.8%減の2474億7000万円の増収減益だった。

 スマートフォン販売台数の増加などによって売上高は拡大したが、端末機器販売費用の増加などが利益を押し下げた。同社の加藤薫社長(写真1)は「年間の利益目標(8400億円、関連記事)に向けては堅調な滑り出しをしている」と決算内容を評価した。

 今期の決算で加藤社長は、ドコモが夏モデルにて開始した販売施策「ツートップ戦略」についての説明に多くの時間を充てた。ツートップ戦略とは、夏モデルのうちの「Xperia A」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)と「GALAXY S4」(韓国サムスン電子製)の2機種をドコモのお奨め機種としてプッシュ。他の機種よりも奨励金を厚く積み増し、実質価格を下げる取り組みだ。

ツートップのXperia Aは約110万台、GALAXY S4は約55万台

 ツートップの2機種であるXperia Aはこれまでに約110万台、GALAXY S4は約55万台の販売と、それぞれ売れ行きが好調とした(写真2)。

 さらに、これらのツートップ機種の購入ユーザーの内訳も明らかにした。Xperia Aは約62%がフィーチャーフォンユーザーからの移行といい、「スマホ基盤の拡大に寄与している」(加藤社長)と評価する。一方のGALAXY S4の方は、約50%がスマートフォンユーザーからの取り換えであり、両機種で購入ユーザーの属性が分かれた形になる。なお、同社のスマートフォンのユーザー数は6月末で約2050万に達したという。

 もう一つのツートップ戦略の効果として、加藤社長はMNPによってドコモから他社に出ていくポートアウト数の改善に効果が出ていると指摘する。同社のフィーチャーフォンユーザーのポートアウト数が、ツートップ戦略によって32%減になったという。

 ただ、MNPにおける他社からドコモへのポートイン数については「想定よりも少なかった」(加藤社長)と誤算を認める。その結果、第1四半期の純増数は前年同期の約26.6万に対し、今期は約8.7万と厳しい数字に終わっている。

 加藤社長はこの点について、「6月に入ってドコモへポートインしてくるユーザーに対するキャッシュバックを控えた影響が響いた。他社は“ツートップ戦略”対抗で、ポートイン施策を厚くしていた点も影響した。7月にはキャッシュバック施策を復活したため、今は手応えを感じる結果が出ている」と説明。「8.7万の純増は残念な結果だが、ツートップ戦略は一定の結果が出ている」(同)と戦略全体を評価した。

LTE、下り最大150Mビット/秒サービスを10月開始

 決算に合わせて、下り最大150Mビット/秒のLTEサービスを10月から開始することも明らかにした。1.7GHz帯の20MHz幅×2を使って実現する。

 サービス開始に先立って、7月30日から神奈川県のごく一部のエリアで試験運用を開始する。なお、1.7GHz帯の下り最大150Mビット/秒のLTEに対応したカテゴリー4端末をドコモはまだ発売していないため、あくまで試験端末を使った運用となる。なお、ドコモが保有する1.7GHz帯は東名阪限定のバンドであるため、150Mビット/秒サービスの展開も、当面は東名阪限定になりそうだ。

決算資料