写真1●イベントには、駐日ルクセンブルク大公国大使のポール・シュタインメッツ氏も参加
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写真2●ALEX CEOの辻野晃一郎氏は、ルクセンブルクのICTスプリング2013でも講演
写真2●ALEX CEOの辻野晃一郎氏は、ルクセンブルクのICTスプリング2013でも講演
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写真3●ICTスプリング2013参加者8人によるパネルディスカッション
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 ICT分野における欧州の魅力を解説するイベント「日本の革新的ICTベンチャー、欧州に挑む!ルクセンブルクからEUへ」が、2013年7月25日に開催された(写真1)。このイベントの主催は、ルクセンブルク貿易投資事務所、日欧産業協力センター、在日ベルギー・ルクセンブルグ商工会議所の3団体。6月中旬にルクセンブルクで開催された「ICTスプリング2013」の開催報告を中心に、欧州に進出する企業向けの各種支援制度などを解説するものである。

 ルクセンブルク経済通商省 東京貿易投資事務所の松野百合子氏は、欧州のインターネット人口は北米を上回ることや世界中のICT企業が拠点を構えていること、ルクセンブルク政府が2006年に電子商取引やデータセンター分野でトップランナーになる目標を定めたことなどを挙げ、欧州進出の際にはルクセンブルクに注目してほしいと呼びかけた。

 ルクセンブルクがICT分野に力を入れる象徴的なイベントと言えるICTスプリング2013は「スタートアップ向けのテックイベント」(松野氏)であり、スタートアップ向けには120の出展枠が用意されている。このうち、日本のスタートアップ企業には10個の無料枠が用意されるという特典がある。2014年も、同様の特典が用意される予定だという。

 開催報告としては、ICTスプリング2013で基調講演した、前グーグル日本法人社長で現在はALEXのCEOを務める辻野晃一郎氏が登壇(写真2)。同氏は、日本の電機メーカーなどが苦境に陥っているという課題を取り上げ、その打開策として「外貨を稼ぎ、21世紀型の経済モデルを生み出すためにチャレンジする人を増やす必要がある」と説いた。

 その後、ICTスプリングに出展企業として参加したベンチャー企業7社(アシアル、ガルチ、BIH、Skeed、ねこじゃらし、AddQuality、エニドア)の代表と、取材同行したアスキーの記者が登壇、現地での開催報告を行った(写真3)。出展することを決めた動機を紹介したほか、言語やインフラの違いなど、現地に足を運んだことで得られた経験が報告された。

 同イベントでは、スタートアップ企業に欧州での起業や欧州市場進出を支援するNPO「Europe4Startups」が紹介された。同団体が推進するコンテストで選抜されたスタートアップ企業には、12カ月間、現地滞在で必要なリソースが提供される。このほか、欧州と日本の交流を促進する活動として、人工衛星関連の開発者ネットワークである「GNSS.asia」や、企業間の連携を推進する取り組み「EEN」(エンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク)も紹介された。