欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2013年7月25日、電子書籍の価格カルテルを巡り、英Pearson傘下のPenguinによる和解案を承認したと発表した。これにより、米Appleと大手出版5社すべてが和解に応じたことになる。

 ECは、Appleおよび出版5社が、書籍の販売価格を書店が自由に設定できる従来の「卸売りモデル」から価格の決定権を出版社が握る「販売代理店モデル」に契約形態を移行することで、欧州経済領域における電子書籍販売の競争を妨害し、価格を不当につり上げていた疑いがあるとして、2011年12月に欧州競争法違反で正式調査を開始した。2012年12月にAppleと米CBS傘下のSimon & Schuster、米News傘下のHarper Collins、フランスLagardere傘下のHachette Livre、米Macmillanの親会社であるドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinckの和解案が法的拘束力を有する誓約として承認されたが、Penguinはこの際の誓約には参加していなかった(関連記事:欧州委、電子書籍カルテルを巡るAppleと出版4社の和解案を承認)。

 Penguinは今年4月に和解案をECに提出し、ECは同和解案について1カ月間の意見募集期間を設けていた。ECによれば、Penguinの提案は先のAppleおよび4社の誓約とほぼ同様であり、「以前指摘した競争の懸念を解消する内容であると確信している」として、今回承認した。

 和解案には、Appleとの販売代理店契約を終了し、Appleより有利な価格での販売を禁じるMFN(Most Favoured Nation)条件を5年間凍結すること、2年間にわたり書店が電子書籍の価格を自由に設定できるようにすることなどが盛り込まれている。

 なお、Appleとこれら5社は米国でも同様の問題で2012年4月に提訴された。出版5社は米司法省(DOJ)と和解したが、Appleのみが法廷での争いに残り、2013年7月に独占禁止法違反の判決を受けている(関連記事:Apple、電子書籍の価格操作問題で独占禁止法違反の判決 )。

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