写真●ソフトバンクの孫正義社長(Wireless City Planningの社長も兼ねる)
写真●ソフトバンクの孫正義社長(Wireless City Planningの社長も兼ねる)
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 ソフトバンクの孫正義社長は2013年7月25日、2.5GHz帯周波数の追加割り当てがKDDI系のUQコミュニケーションズ(UQコム)に固まったとの一部報道を受け、総務省を訪問して抗議した。

 総務省は7月中にも、2.5GHz帯(2625M~2650MHz)を広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)向けに新たに割り当てる。開設計画の申請は6月24日で締め切っており、UQコムとソフトバンク系のWireless City Planning(WCP)による一騎打ちとなっていた。孫社長はWCPの社長も兼務している(関連記事:どうなる?2.5GHz帯周波数の追加割り当て)。

 孫社長(写真)は同日午後3時50分頃に総務省総合通信基盤局長の部屋に入り、1時間以上にわたって抗議。憤慨しながら出てきた。総合通信基盤局長に割り当ての方針を確認したところ、「事実上、そのようであるという確証を得た」(孫社長)という。

 本来、割り当てを決めるのは、総務大臣の諮問を受けた電波監理審議会。26日に開催予定の電波監理審議会を前に「密室で主観で総務省の数名の人間がサマリーシートだけを見て決めるというプロセス自体がそもそもおかしい。(UQコムに割り当てとなれば)UQコムが50MHz幅、WCPが30MHz幅とアンフェアな状況になる。特にBWAは保有している周波数の幅がサービスの優劣に直結する。これでは既存ユーザーにも株主にも説明がつかない。専門家を交えて検討するが、行政訴訟も辞さない」と怒りをあらわにした。

 実は、2.5GHz帯のBWAを最初に割り当てた2007年にも、割り当て先がウィルコムとKDDI陣営に固まったとの一部報道が事前に出て総務省に猛抗議した。当時は「意見陳述の機会を設けるべき」との要望書を総務省と電波監理審議会に提出したが、最終的に受け入れられなかった経緯がある(関連記事1:「再度,意見陳述の場を設けよ」,イーアク/ソフトバンクが2.5GHz帯に関し総務省に要望、関連記事2:エリア展開スピードと財務基盤を評価,2.5GHz帯に当選したKDDI陣営とウィルコム)。

 今回も総務大臣ならびに電波監理審議会会長、総合通信基盤局長あてに、(1)26日の電波監理審議会による決定の延期、(2)電波監理審議会による公開ヒアリングの実施と開設計画の説明機会の設置---をそれぞれ求める要望書を提出したが、総合通信基盤局長の反応は「非常に悪かった」(孫社長)という。現状は行政訴訟が濃厚となっている。

 詳細は追ってお伝えする。