図●キヤノンMJグループの移転プロジェクトの概要
図●キヤノンMJグループの移転プロジェクトの概要
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 キヤノンマーケティングジャパン(MJ)とキヤノンITソリューションズ(ITS)は2013年7月25日、キヤノンMJグループの西東京データセンターに同グループの基幹システムを移転したと発表した。キヤノンMJの幕張事業所にあった基幹系などの機材を2013年5月3日から3日間で移行。すでに遠隔地バックアップとして運用している沖縄データセンターのシステムと併せて、BCP(事業継続計画)に対応したシステムを構築したという。

 キヤノンMJグループは、東日本大震災以降、BCP対策として2011年7月にグループ企業のクオリサイトテクノロジーズが運営する沖縄データセンターに災害発生時のバックアップ用のシステムを構築している。今回は、キヤノンMJグループの社員2万人が利用する基幹システムなど全49ラックを、西東京データセンターに移した。移転と同時に、段階的に仮想化とシステムの統合にも取り組み、206台あったサーバーを29台にまで削減。ファシリティコストを54%、CO2の排出量も61%、それぞれ削減したとしている。

 移転作業はキヤノンITSが担当。マルチベンダー環境のシステムを取りまとめ、1回で移転を実現した。データセンターには21ラック分のネットワーク関連設備や回線を先行して配置し、そこに幕張事業所からサーバーなどの機器を移設した。電源やネットワーク、ストレージのケーブルが合計1500本あり、接続などの物理的な作業や管理が複雑なほか、ストレージの解体・設置作業など長時間かかる作業はあったが、事前のリハーサルなどでリスク管理を徹底したため、予定通り、3日間で移転作業を完了したという。

 キヤノンITSは今回の移転のノウハウを生かして、データセンター移転の支援サービスを開始する。移設支援からシステム構築、ネットワーク回線、システム運用までワンストップで提供。特に移設のコンサルティングとして、プロジェクトの立ち上げから既存システムの調査、要件定義、機材調達・運用環境準備、移設、運用まで、プロジェクト全体をマネジメントするサービスを用意する。

 さらにキヤノンITSは、西東京データセンターを中心にデータセンター事業を強化する計画。キヤノンMJグループは、キヤノンITSのデータセンター事業を含めて、データセンターとシステム運用サービスなどのストック型ITサービス事業全体で2015年に売上高500億円を目指すとしている。