JR東日本が交通系ICカード「Suica」の乗降履歴をマーケティング分析の目的で日立製作所に提供していた件で、JR東日本からSuicaユーザーへの事前説明や情報公開がなかったことが波紋を呼んでいる(参考記事)。JR東日本が提供したデータの内容やプライバシー保護の枠組みについて、JR東日本に文書ベースで取材。同社広報とのメールでのやりとりをインタビュー形式に再構成した。資料性を重視し、JR東日本の回答は(カッコ部の注釈を除いて)原文をそのまま引用している。


今回、交通系履歴の他社への提供へと踏み出したきっかけは。

 JR東日本 Suicaの利用履歴から旅客流動を分析する技術に関して共同研究を行ってきたことから、このたび日立製作所が作成したレポートを販売することとなりました(注:販売主体は日立製作所)。

 弊社としましては、本サービスによって駅の特性に合わせたマーケティング情報が提供されることで、駅周辺の活性化や駅をご利用になられるお客さまの利便性を高める効果があるものと期待しております。

Suica交通履歴を他社に販売したのは、日立製作所が初めてか。過去に事例はあるか。

 日立製作所さまが最初で、他の企業はございません。

日立製作所に提供しているデータの対象ユーザー、データ項目、データの粒度、IDの有無などは。

 日立製作所に提供しているデータは、弊社が発行する全てのSuicaの鉄道利用に関する情報のみであり、乗降駅、利用日時、利用額、利用者年齢(注:具体的には生年月)、性別等を元に個人を特定できないように加工したデータとなります。Suica電子マネーを利用した購買の情報はございません。

 SuicaID番号につきましては、元の番号が特定できない方法で変換した結果のみを提供しております。変換方法につきましては定期的に変更しており、長期間にわたって同じSuicaID番号が一意の番号に変換されることはありません。