総務省は2013年7月17日、V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割り当て・制度整備に関する基本的方針の案を発表した。この方針案は、「V-Lowマルチメディア放送に係る参入希望調査等の結果」(2013年5月10日公表)および「放送ネットワークの強靱化に関する検討会 中間取りまとめ」(2013年7月17日公表)などを踏まえて作成したという。

 V-Low帯は、アナログテレビ放送の1~3chに利用してきた帯域で、90M~108MHzを指す。従来は、この帯域を利用してISDB-TsbによるV-Lowマルチメディア放送を展開することになっていた。

 今回示された方針案によると、V-Low帯の半分に相当する99M~108MHzを地方ブロック向けマルチメディア放送(およびデジタルコミュニティ放送)に利用する。この周波数帯を二つに分割し、各ブロックは4.5MHz幅を利用して9セグメントの帯域を確保する。つまり、2色(1色は4.5MHz幅)を各ブロックごとに交互に塗り分けて、全国をカバーする。

 一方、90M~95MHzは、検討会の中間報告提言に基づき、AM放送の難聴(都市型難聴や地理的・地形的難聴、外国波混信)対策や、津波など災害への対策としてのFM方式中継局およびコミュニティ放送に割り当てる。親局の放送区域の一部を補完するもので空中線電力が大きいものは、周波数などを基幹放送用周波数使用計画で定める。

 両周波数の間の95M~99MHzは、ガードバンド(GB)として利用する。ただし、今後地方ブロック向けマルチメディア放送の置局を行う過程で混信または混信の可能性が発生し、これを回避するために真に必要な場合は、この周波数を利用するとした。

 さらに、今回の案では、V-Lowの下の帯域についても方針を述べている。

 85M~90MHzのうち、アナログテレビ放送とのGBとされていた周波数については、超短波放送(コミュニティ放送を含む)に係る放送局および、AM放送の難聴(地理的・地形的難聴、外国波混信)対策にかかるFM方式の中継局に割り当てる。GBとされていた周波数以外については、超短波(コミュニティ放送を含む)は従来通りで、FM中継について外国波混信に加えて、AM放送の難聴(地理的・地形的難聴)対策にも割り当てる。なお、この帯域では、AM放送のFM中継については、「空中線電力が小さいものとする」としている。

 なおNHKのAM放送の難聴対策(90M~95MHz)および国内放送を行う短波放送は、FM方式による中継局およびコミュニティ放送局の置局状況を考慮して検討するとした。

 この日は、地方ブロック向けマルチメディア放送の制度整備に係る基本的事項も、制度整備に関する基本的方針の案として示した。さらに、「放送ネットワークの強靭化に関する検討会中間取りまとめの公表及び意見募集の結果」や、この検討会の議論に基づいた「民間地上基幹放送事業者の活力の再生に向けた基本指針(事業分野指針)(案)」が発表された。

[「V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針(案)」の発表資料へ]
[「放送ネットワークの強靭化に関する検討会中間取りまとめの公表及び意見募集の結果」の発表資料へ]
[「民間地上基幹放送事業者の活力の再生に向けた基本指針(事業分野指針)案」の発表資料へ]