写真1●ブレインパッドの草野隆史代表取締役社長
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写真2●大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 理事、統計数理研究所長、総合研究大学院大学統計科学専攻 教授の樋口知之氏
写真2●大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 理事、統計数理研究所長、総合研究大学院大学統計科学専攻 教授の樋口知之氏
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 2013年7月16日、ビッグデータ分析を行う新しい職業「データサイエンティスト」を育成・支援する団体として、ブレインパッドの草野隆史代表取締役社長(写真1)らを発起人とする「一般社団法人データサイエンティスト協会」が発足。同日、同協会代表理事に就任した草野社長、および同協会の顧問を務める大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 理事、統計数理研究所長、総合研究大学院大学統計科学専攻 教授の樋口知之氏(写真2)が記者会見を開催した。

 同協会では主に、(1)データサイエンティストの人材像・スキル要件の定義とその啓蒙活動、(2)データサイエンティスト育成のためのカリキュラム、シラバス作成、(3)企業を越えたデータサイエンティストのコミュニティの形成に取り組む。将来的には、同協会によるデータサイエンティスト認定制度の設立を目指すとする。

 初年度は、データサイエンティストのスキルセットの“定義”が主務となる。草野代表理事は、この活動の背景について、「データサイエンティストという職業のスキルセットについて定義がないために、企業がビッグデータ分析を外部に依頼する際、期待した役割と分析人材のスキルセットにミスマッチが起こり、データ分析から想定した効果が得られない事態が発生している。また、データ分析サービスを提供する側の企業でも、自社の現状レベルや、自社のデータ分析人材のスキルを把握できないでいる」と説明した。

 顧問の樋口氏によれば、データサイエンティストは「過去の経験、知識、目の前にある大量データを分析・解析し、予測モデルを作り、合理的に意思決定ができる人材」と定義される。同協会の目的は、このように定義されたデータサイエンティストの人物像を広く一般に啓蒙することと、これらのスキルセットを習得するためのカリキュラムを用意することだ。

 現時点でのロードマップ案では、2013年度中に、人材像・スキル要件の定義、エントリーレベルのカリキュラム策定、講座・書籍の公認、協会の体制整備などを行う。2014年度には、ミドルレベルのカリキュラム策定、他の関連資格との連携MAP作成を予定。2015年には、データサイエンティストのレベル評価制度の検討に入るとする。また、年2回、研究成果の公開、データサイエンティスト同氏の交流、意見集約の場としてシンポジウムなどを開催する。

 尚、設立当初は、協会立ち上げを主導したブレインパッドのメンバーが理事、事務局を務め、社員総会を意思決定機関とする一般社団法人として運営する。今後、理事、監事を外部から招き、理事・監事設置型(理事3人以上、監事1人を想定)の一般社団法人へ展開する計画だ。さらに、協会内に「スキル定義委員会」「教育・育成委員会」「評価・認定委員会」「企画委員会」を組織。分析系企業、ユーザー系企業、文教系企業、教育機関の人物に、各委員会の委員長を依頼していくとする。