写真1●青山学院大学の阿部和広講師「プログラミングを楽しむことが大事」
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写真2●小飼弾氏「かわいい子には旅をさせろ」
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写真3●ソーシャルアプリ活用について説明するドリコムの内藤裕紀社長
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写真4●(左から)高校生のTehu氏をモデレータに、女子高生プログラマの高瀬理奈さん、中学生プログラマの小原凱也君、小学生プログラマの石原正宗君がプログラミングを始めたきっかけや楽しさなどをディスカッションした
写真4●(左から)高校生のTehu氏をモデレータに、女子高生プログラマの高瀬理奈さん、中学生プログラマの小原凱也君、小学生プログラマの石原正宗君がプログラミングを始めたきっかけや楽しさなどをディスカッションした
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 小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは2013年7月14日、「未来の天才を生み出す、次世代プログラミング教育」と題し、児童向けプログラミング教育のあり方を考えるイベントを都内で開催した。参加した約150名の保護者や子どもたちに向けて、児童向けプログラミング教育の実践者や小学生から高校生までのプログラマたちなどが自らの経験に基づいてそのあり方を講演した。

 最初に登壇した青山学院大学の阿部和広講師は、「デジタルネイティブという言葉で現代の子どもたちを表現することもあるが、ネイティブとはどのような能力だろう」と問いかけた(写真1)。「今の子どもたちはゲーム機やスマートフォンなどでコンテンツを消費しているだけで、創造はしていない」という米MITメディアラボのミッチェル・レズニック教授の言葉を用いながら「本当のデジタルネイティブとはなにか」「コンピュータリテラシーとはなにか」について問題提起し、それを身につける道具としてのプログラミング環境「Scratch(スクラッチ)」をデモンストレーションした。

 講演の最後にはプログラミング教育を実践する立場から、「就職できるとか、お金が儲かるといった目的のためではなく、プログラミングそのものを楽しむことが大事。自分が楽しいと感じてそれを他の人に伝え、その人も楽しいと感じることで楽しさ、面白さが増幅する。この繰り返しで(プログラミングを)続けられる」と述べ、継続して学ぶことの重要性を強調した

 続いて登壇したプログラマにしてブロガーの小飼弾氏は、「どうしたら天才になれるのか」という観点からプログラミング教育について語った(写真2)。「なにかしらの実績、作品を残し、それを周囲に認めてもらうことで天才になる。天才は自分だけではできず、周囲、環境が作り上げる」とし、「天才は、その才能を見つける人がいないと開花しない。今の日本は天才を見つけられる環境なのか。そうでないとしたら、日本にいたら、自分が天才であることを見つけてもらえないかもしれない。本当は天才かもしれないのに、周りが気づかないだけで、毒にも薬にもならない人になる可能性がある」と述べ、必要に応じて自ら環境を変えることの大切さを説いた。

 そして保護者に対しては、「親が子どもの才能を見つけられない可能性もある。だからこそ、『かわいい子には旅をさせろ』と言いたい」と呼びかけた。

 ドリコムの内藤裕紀社長が続いて登壇。ソーシャルラーニングアプリ『えいぽんたん!』の利用状況を示しながら、「予習」「習う」「復習」という学びの過程において、復習についてはアプリが有効なのではないかと分析した(写真3)。

 最後に、高校生のTehu氏をモデレータに、小学生プログラマの石原正宗君、中学生プログラマの小原凱也君、女子高生プログラマの高瀬理奈さんがプログラミングを始めたきっかけやプログラミング経験によって変わったことをディスカッションした(写真4)。Tehu氏は議論を通じて、「若いときから社会に触れる機会は、自分の視野を広めて能力を高めるうえでとても重要。プログラミングは、コミュニティなどにより若い人にも門戸が開かれており、社会に触れるとても良い機会になる」と総括した。