写真1●日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏
写真1●日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏
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写真2●日本IBM 理事 ソフトウェア事業 ラショナル事業部長 渡辺公成氏
写真2●日本IBM 理事 ソフトウェア事業 ラショナル事業部長 渡辺公成氏
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 日本IBMは7月11日、IBM Rational事業における「DevOps戦略説明会」を開催した。専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏は「企業のビジネスの変化に追従してシステムを開発・運用していくには、開発と運用の垣根を越えてソフトウエアデリバリーのサイクルを加速させるDevOpsのコンセプトが重要になる」と強調した(写真1)。

 マハジャン氏は、「クラウドやモバイルの浸透により、企業のビジネスは想像できないスピードで変化している」と指摘。情報システムには、数日おき、あるいは毎日といったより頻繁なソフトウエアリリースによって、ユーザー要求の変化に対応することが求められているという。これを実現するために開発と運用をつなぐ手法がDevOpsのコンセプトであり、そのニーズは今後ますます高まるとした。

 日本IBMは同説明会において、DevOpsコンセプトを実現するソフトウエア製品の一つ、「UrbanCode」を7月11日に国内で販売開始したことも明らかにした。UrbanCodeは、2013年4月に米IBMが買収した米UrbanCodeの製品で、アプリケーションリリースの自動化やリリース状況の管理機能を備えるツールである。ソフトウェア事業 ラショナル事業部長の理事 渡辺公成氏は「アプリケーションのリリースプロセスでは、開発と運用の担当者の間でコミュニケーションがうまくいかず、サービス開始に時間がかかることが問題になっている。UrbanCodeは、開発から運用までの全プロセスを見える化して自動化することで、開発と運用の間にある壁をなくすツールだ」と説明する(写真2)。

 具体的には、UrbanCodeは、アプリケーションの開発、構成管理、ビルド、テスト、ステージング環境や本番環境へのデプロイ、といった作業を一連のリリースプロセスとして定義し、自動化する。個々のプロセスをテンプレート部品として提供しており、GUIによるドラッグ&ドロップでリリースプロセスを定義して実行できる。例えば、統合テストが計画通り完了しているかどうかを判定して、完了済みならアプリケーションのインストールやサーバー起動といったデプロイプロセスを自動実行するなどだ。リリース計画や実績をレポート化してリアルタイムで確認できる機能も備える。

 日本IBMではUrbanCodeのほか、Team ConcertやQuality Manager、Test Workbenchiといった開発・テストツール、ユーザーのアプリケーション利用状況をモニターするTeaLeafなど、DevOpsを実現するさまざまな製品を提供している。銀行、保険、証券、情報サービスなどシステムに高い安定性を求める企業や、ECやソーシャルアプリケーション、ゲームなどを提供するスピードを求める企業を中心に、販売を推進していくという。SI事業者との協業も強化する。7月1日にSI事業者の支援専門部署を設置した。DevOpsの導入を支援するプロセスアセスメントサービスも提供する。

 今回の説明会は、開発支援ツール製品群であるRational事業として開かれたもの。ただしマハジャン氏は「DevOpsは開発だけの話ではなく、開発と運用のライフサイクル全体を通じた取り組みだ。運用管理やサービスマネジメント製品も重要になる。IBM全社でDevOpsに取り組んでいく」と強調した。