ネットプライスドットコムによるネット系企業の育成プログラム「Beenos」(ビーノス)が、2013年7月11日に始動した。同社がこれまで出資あるいは事業化支援した経験を整理し、体系化して提供するものである。

 このところ、起業の増加と共に、創業間もない企業に資金提供するベンチャーキャピタル(VC)や、それに関連した支援事業も増えている。Beenosもその一つと言えるが、Beenosの最大の特徴はスタートアップ経験者がフルタイムでサポートしていること。同事業を推進するネットプライスドットコム執行役員兼Beenos本部長の前田紘典氏は、「起業は起業家が支援すべきと考えた」とする。

 一般に「シード・アクセラレータ」と呼ばれる起業支援事業では、起業経験者を定期・不定期の助言者(メンター)として招くことが多いが、フルタイムで支援を受けられる体制は珍しい。前田氏によれば「ブラウザーソフトを開発したマーク・アンドリーセン氏によるVCなど、米国のシリコンバレーでは最近になって増えているが、日本ではほとんどない」という。Beenosでは、経営、技術、データ分析、デザイン、基幹業務などの専門家をそろえ、起業を全面的に援護する。

 このほかBeenosでは、インドネシアやトルコ、インド、北米といった世界的な起業ネットワーク、専門ワークショップの開催、データ分析、プロトタイピングの開発支援サービスなどを参加企業に提供する。

 同プログラムには、大きく2種類がある。一つが「インベストメント・プログラム」。既存のインターネット企業に対して、データ分析やKPIの設定が必要な初期段階から、事業提携などが必要な後期段階に至るまでの事業育成を行う。

 もう一つは「インセプション・プログラム」。インベストメント・プログラムとは違って、起業家とBeenosが連携して、ゼロから事業を立ち上げる形態である。

 ネットプライスは同事業を通じて、出資企業の株価上昇によるキャピタルゲインを狙うほか、事業そのものから収益を得ることも想定している。