米Appleと米Amazon.comが「App Store」の名称を巡って繰り広げていた係争が終結したと、複数の米英メディア(BusinessweekReutersThe Registerなど)が現地時間2013年7月9日に報じた。米カリフォルニア州オークランドの連邦地方裁判所で8月19日に審理が行われる予定だったが、Appleが不提訴契約を提示して訴訟を取り下げ、Amazon.comもそれに応じた。

 Appleは2011年3月、Amazon.comが同月立ち上げたAndroid対応アプリケーションのオンラインストア「Amazon Appstore for Android」の名称を問題としてAmazon.comを商標侵害と不正競争および虚偽広告で提訴。Amazon.comはこれを受けてAppleを逆提訴した。

 Appleの主張に対してはAmazon.comだけでなく米Microsoft、台湾HTC、フィンランドNokiaも反発し、「app storeはbook store(書店)やtoy store(玩具店)などと同様に汎用的に使われている言葉だ」と異議を唱えた。

 連邦地裁は2011年7月、Appleが求めていた名称使用差止めを却下。また、2013年1月にはAmazon Appstore for Androidを虚偽広告だとするAppleの主張を「根拠が無い」と退けている。

 Apple広報担当者のKristin Huguet氏によると、同社は今回「もはやこの係争を続ける必要性はない」と判断したという。同社のモバイルアプリケーション配信/販売サービス「App Store」が90万種類以上のアプリケーションを配信し、500億ダウンロードを達成していることに言及した上で、「ユーザーはどこでお気に入りのアプリケーションが買えるかよく分かっている」と説明した。

 一方、Amazon.comの弁護士は「これはAppleが一方的に係争を放棄した決断であり、Amazon.comは自由にappstoreを名称に使える」と述べた。