米Barnes & Nobleは現地時間2013年7月8日、William Lynch最高経営責任者(CEO)が同日付で辞任したと発表した。理由については明らかにしていないが組織再編の一環と見られている。

 Lynch氏の辞任に伴い、同社はMichael Huseby最高財務責任者(CFO)をBarnes & Nobleのプレジデントに任命した。同氏は電子書籍事業などを手がける子会社NOOK MediaのCEOも兼務する。また今後、大学構内書店事業のMax Roberts CEOがHuseby氏の直属となり、Huseby氏と小売事業のMitchell Klipper CEOがLeonard Riggio会長の直属となることも明らかにした。

 同社は当面Lynch氏の後任を探さないもようだ。米New York Timesは、「当社は移行期にあるため、早急にCEOを任命する予定はない」とBarnes & Nobleの広報担当者が述べたと伝えている。

 またRiggio会長は発表資料で「現在、当社は戦略的計画を検討している段階で、詳細は適切な時期に公表する」と述べている。海外メディアによると同社は書店事業と「NOOK」などを手がける電子書籍事業の分離、あるいは電子書籍事業の売却を検討していると見られている。

 Lynch氏がBarnes & Nobleに移籍したのは2009年。それ以前は、テレビ通販大手の米HSNや、オンラインギフトショップの米Gifts.com、米Palmでそれぞれeコマース部門の幹部を務めた。2010年にBarnes & NobleのCEOに就任した後は、電子書籍端末やタブレット端末の事業を展開した。

 Barnes & Nobleの事業には、全米675店の書店とeコマースサイトを運営する「Retail」、大学キャンパス内の店舗で教科書などを販売する「College」、タブレット端末や電子書籍端末、電子書籍を手がける「NOOK」がある。このうちNOOK事業は売上高の規模が最も小さい。

 2013会計年度第4四半期(2~4月)におけるNOOK事業のEBITDA(利子、税金、減価償却費控除前損益)は1億7700万ドルの赤字で、赤字額は前年同期からほぼ2.3倍に拡大、売上高は同34.0%減と大きく落ち込んだ。この決算発表時にLynch氏は、「NOOK事業の損失を大幅に低減する」とし、タブレットの自社生産から撤退するという計画を明らかにした( 関連記事:Barnes & Noble、NOOK事業の赤字が2.3倍に拡大、タブレット端末の生産から撤退へ)。

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