テスト自動化システムの構築支援を手掛けるTRIDENTは7月9日、Webアプリケーション向けテストツール「Selenium」の利用促進を目的とした団体「日本Seleniumユーザーコミュニティ」を設立したと発表した。Seleniumは、Webブラウザーのマウス操作を再現するツールで、Webアプリケーションの開発現場で導入が進みつつある。TRIDENTの伊藤望代表取締役社長は、「Seleniumの情報を日本語で収集しやすくすることで、海外では進んでいるテスト自動化の取り組みを、日本でも推進したい」と、コミュニティ開設の狙いを話す。

 まずは、コミュニティの参加者が情報交換する場として、Googleグループ内にオンラインのフォーラムを開設した。フォーラムに参加するにはGoogleアカウントを取得し、コミュニティのトップページに表示される参加申請のボタンをクリックする。現在はTRIDENTがフォーラムの管理者となっているため、TRIDENT社内でチェックが済むとメンバーとして参加できるようになる。TRIDENTが同コミュニティを開設したのは7月1日。9日朝までに約50名の参加登録があったという。

 Seleniumは、システム改修に伴うデグレードを防止する回帰テストに欠かせないツールとして、回帰テストの自動化を進める開発現場では広く普及している。ところが、Seleniumはオープンソースソフトウエア(OSS)であるため、これまで日本語でサポートするベンダーやまとまった情報を提供するサイトが存在しなかった。開発現場のエンジニアは、Seleniumの開発コミュニティで公開されている英語のドキュメント、個人がブログで公開しているノウハウから断片的な情報を収集し、試行錯誤しながら導入していた。

 日本Seleniumユーザーコミュニティは、そうした状況を改善することを目的としている。まずはオンラインのフォーラムを開設することで、Seleniumの使い方やトラブルの解決方法などを、参加するメンバー同士で相互にサポートできるようにした。これまで開発現場で苦労していたエンジニアにとっては、必要とする情報をストレートに収集することが可能になる。

 今後は、公式サイト(「selenium.jp」を予定)の開設も計画していて、Seleniumの開発コミュティで公開されているドキュメントを日本語に翻訳して公開する。さらに、コミュティの組織化や活動方針の設置など、継続したコミュニティ活動を維持するための体制作りも進めていく予定である。