写真●2013年7月5日に開催された「Tokyo Girl Geek Dinner」
写真●2013年7月5日に開催された「Tokyo Girl Geek Dinner」
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 100人を超える「IT女子」が渋谷に集まり、交流するイベント「Tokyo Girl Geek Dinner」が2013年7月5日夜に開催された(写真)。会場に集まったのは、プログラマーやデザイナーなどITにかかわる女性がほとんど。募集時には80人の参加を想定したものの希望者が殺到、会場となったレストランでは、椅子を増設するなどして急きょ対応した。

 同イベントを主催するのは、ロンドン在住の経験があるプログラマーの藤田里香氏。ロンドンで行われていた、技術系の仕事に携わる女性向けのイベントを、ぜひ日本でも開催したいと考えたのがきっかけという。各種ソーシャルメディアの普及とともに、IT系のイベントは毎日のように行われているが、男性が中心。女性が関心のある話題や場所を用意したイベントが、Tokyo Girl Geek Dinnerだ。

 Tokyo Girl Geek Dinnerの初回開催は2009年(第2回のイベントを紹介した関連記事)。今回が5回目の開催となるが、初めて協賛企業が現れた。クラウド上のドキュメント管理サービスを提供するEvernoteで、「多様性を重視する」(同社マーケティング、広報担当の上野美香氏)という同社の活動の一環ということになる。イベントの冒頭では、今回の参加者の顔ぶれに合わせて、開発コンテストや開発者支援活動などを紹介し、女性視点でのサービス開発を応援する姿勢を強調した。

 今回のイベントの内容は、前半が、経歴が大きく異なる2人の女性による講演。続いて、希望者による自己紹介を兼ねた短時間のプレゼンテーション大会を経て、懇親会という流れで進行した。

 講演者の1人は、日本IBM出身で、現在は日本マイクロソフトの執行役を務める佐々木順子氏。経営学部を卒業した佐々木氏はプログラマーとして仕事を始めたものの、才能の限界を感じてプロジェクトマネージャーに転向したなどの体験談を紹介、後輩となる女性プログラマーに対して「複数の仕事の軸を持つ重要性」など様々なアドバイスやメッセージを送った。

 大手企業での経験が豊富な佐々木氏に対して、2人目の大場寧子氏の講演は起業家の視点によるもの。同氏はRailsのプログラマーで、Webシステム開発の万葉の社長を務める。企業勤めの経験も踏まえ、エンジニア視点での会社運営をしていることを紹介した。「普段はあまりしないのだが」としつつ、「ジェンダー」(性差)による仕事などのスタイルの違いも話題にした。経営者やプログラマーの経験から、男性は原則主義、女性は現実主義などの違いがあって、その違いを踏まえたマネジメントが必要という話だ。大場氏自身からは、その違いを楽しんでいる様子がうかがえた。

 自己紹介コーナーでは、自社のサービス紹介する人あり、テレビ出演の経験談あり、最近夢中になっている「マイブーム」披露ありと、バラエティに富むものだった。この自己紹介などを通じて、参加者は懇親会での交流を楽しんだ。Twitterをみると、登壇者への親しみやあこがれをそのまま表現する書き込みが多いなど、男性中心のイベントとは違って、至るところに「共感」があったイベントだった。