写真●日本オラクルの遠藤隆雄社長(撮影:井上裕康)
写真●日本オラクルの遠藤隆雄社長(撮影:井上裕康)
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 「歴史的にテクノロジーが企業のビジネスを大きく変えてきた。今は、モバイルやソーシャル、クラウドといったITの新潮流を活用することが、企業の成長に不可欠だ」。日本オラクルの遠藤隆雄 代表執行役社長 最高経営責任者(写真)は2013年7月5日、日経BP社が東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2013」でこう語った。

 遠藤氏は、企業の最新IT活用について「カスタマーエクスペリエンス(CX)」「ビッグデータ」「ソーシャル」の三つのテーマに分けて講演した。

 カスタマーエクスペリエンスでは、モバイルの普及による顧客チャネルの変化を示した。「モバイルによって、いつどこから顧客がアクセスしてくるか分からない『オム二チャネル』の時代になった。すべてのチャネルを通じて一人の顧客として対応できるかどうかが問われている」と遠藤社長は言う。各チャネルで適切な対応が取れないと、カスタマーエクスペリエンスを損ねる。「ひどい体験をした顧客の78%は、ネットを通じてその体験を他の顧客とシェアすると言われている。これが今の怖さでもあり、チャンスでもある」(遠藤社長)。

 ビッグデータについてはいくつかの事例を示し、成功するポイントを述べた。「多くのデータがあるから活用しよう、という考えではうまくいかない。成功したすべての事例は、実現したいことが先にあった。先に実現したいことがあり、そのために必要なデータは何か、と考えることでうまくいく」という。

 最後のソーシャルについては、まず、「ネット上にある顧客の声をモニターすることが大事だ」と話した。「いかに早く顧客の声を吸い上げて対応するかが、企業の成長を大きく左右する」(遠藤社長)。社外だけでなく、社内SNS(Social Networking Service)の活用も重要だという。「ほとんどの企業で従業員同士の協業が求められているが、従業員は良い協業相手をなかなか見つけられないのが現状だ。そこで、社内SNSが生きてくる」と遠藤社長は述べた。

 「今挙げたことを実現する製品・サービスを日本オラクルは提供する。そのために、過去10年間で3兆円を投資し、8年間で92社を買収してきた。製品同士を統合し、シンプルなITを実現している」(遠藤社長)。