写真●IT Japan 2013で講演するレッドハット 代表取締役社長の廣川 裕司氏(写真:井上 裕康)
写真●IT Japan 2013で講演するレッドハット 代表取締役社長の廣川 裕司氏(写真:井上 裕康)
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 レッドハット代表取締役社長の廣川裕司氏は、日経BP社が2013年7月3日から5日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2013」にて、「世界標準オープンソースソフトウェアがもたらす価値創造」と題して講演した(写真)。

 講演の中で廣川氏は、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)において、オープンソースソフトウエア(OSS)が“スピード”、“コスト削減”、“イノベーション(革新)”という大きな価値が生み出すと強調した。

Linuxシェアは2016年に44%に

 まず廣川氏は「OSSの特徴は圧倒的な開発力」だと言う。1991年にLinus Torvalds氏がLinuxのコードをオープンソース化して世界中に開発を呼びかけて22年が経った今、インターネット上で100万人を超えるOSS開発者が育ち、10万を超えるプロジェクトが進行中だ。Linuxに代表されるOSだけでなく、ミドルウエアや仮想化、ストレージ、クラスター、クラウドなどのコミュニティーが急激に拡大している。

 Linuxの普及については「その先には50%と上がっていくと予測される」(廣川氏)という。IDCの調査によると、昨年、全世界のOSシェア(サーバー台数ベース)でLinuxは38%になっており、2016年には44%になる見通しだ。

 また、OSS製品のカバー範囲が広がっていることに触れた。Linuxの登場後、1996年にはミドルウエアやデータベース、2008年にはKVMなどのサーバー仮想化や一部のアプリケーションに広がった。2012年には、Hadoopに代表される分散処理、IaaSやPaaSなどのクラウド管理、ネットワークの仮想化、ストレージの仮想化といったクラウドやビックデータに関する製品も、OSSから登場している。

3つの価値を生むOSS

 さらに、「50年に1度の革新的な変化といえるクラウドを支えているのがOSSだ」と述べる。OSSは世界標準、コミュニティーの開発力によって“スピード”、“コスト削減”、“イノベーション”という価値を生み出している。「アプリケーションの開発は年の単位から週の単位へ、導入は週から分へ、と圧倒的なスピードが得られ、コスト面でも場合によるが、10分の1まで削減できる」という。廣川氏は、「このようなOSSをエンタープライズレベルで使えるようにする役割をレッドハットが担っている」と語った。