「人間の活動を起点にICTをとらえる“ヒューマンセントリック”の時代に向けて、当社はビジネス・社会のイノベーションを実現していきたい」 。「IT Japan 2013」の2日目午後のセッションでは、富士通の代表取締役副社長CTO&CMOの佐相秀幸氏が「ICTが生み出す新たな価値」をテーマに講演し、同社のビジョンを示した(写真)。

写真●富士通の代表取締役副社長CTO&CMOの佐相秀幸氏(写真:井上裕康)
写真●富士通の代表取締役副社長CTO&CMOの佐相秀幸氏(写真:井上裕康)
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 冒頭で佐相氏はゴーギャンの有名な絵画「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」をスクリーンに表示。ソーシャルメディアの台頭や企業のグローバル化といった社会の急激な変化や、CPUやネットワーク、スマートフォンに代表される技術の目覚ましい進化によって、ICTを取り巻く環境は今後どうなるのか、そのなかで富士通が進むもうとしている方向はどこか、などについて語った。

 佐相氏によると、これまでのICTの進化には大きく3つの動きがあったという。1990年代まではメインフレームを中心とした「コンピュータセントリック」で生産性向上が目的だった。2000年代に入るとパソコンやサーバー、インターネットによる「ネットワークセントリック」になり、ビジネスプロセスの変革が求められた。

 そして現在がクラウドやモバイル、ビッグデータを活用する「ヒューマンセントリック」だ。人間の知の創造や行動支援を目的にするなど、今までとは異なる時代に入っているという。「これまでのICTでは全体最適化を念頭に置いてシステムを考えてきた。今後は人間の活動を起点にしたシステムも考える必要がある」。