米政府による通信情報収集の問題を告発した元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏が新たに19カ国に亡命を申請したことが、現地時間2013年7月2日までに分かった。
政府や企業などの機密情報を公開するサイト「WikiLeaks」の法務顧問でSnowden氏に付き添っているSarah Harrison氏が同サイトを通じて明らかにしたところによると、Harrison氏は6月30日、Snowden氏に代わり、モスクワのシェレメチェボ空港でロシア当局者に申請書類を手渡した。Snowden氏はこれまでエクアドルとアイスランドに亡命申請をしていたが、今回オーストリア、ボリビア、ブラジル、中国、キューバ、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、アイルランド、オランダ、ニカラグア、ノルウェー、ポーランド、ロシア、スペイン、スイス、ベネズエラにも申請。書類はモスクワにある各国の大使館に届けられ始めている。
米メディア(New York Times、FOXNews.comなど)の報道によると、ベネズエラとボリビアが申請を承認する可能性を示している。しかしインドとブラジルは拒否。オーストリア、フィンランド、ドイツ、アイルランド、ノルウェー、スペイン、スイス、ポーランドは、「亡命申請は各国領域内で本人が行わなければならない」とし、「Snowden氏は適切な申請を行っていない」との見解を示している。イタリアは現在検討中だが、受け入れる可能性は極めて低い。
またロシア政府は、同国への亡命申請が取り下げられたことを明らかにした。Vladimir Putinロシア大統領が米国に損失を与える行動をやめることを条件に亡命申請を受け入れる可能性を示唆したのち、申請が撤回されたという。
Snowden氏は現在、シェレメチェボ空港の乗り継ぎラウンジにとどまっていると伝えられている。Snowden氏はエクアドル大統領に宛てた手紙で、「私は自由の身であり、民衆の利益になる情報を公開できる。私の人生があと何日であろうとも、この不平等な世界で正義のための闘いに身を捧げる」と綴っている。
なおSnowden氏は、WikiLeaksを通じて7月1日付けで声明を発表している。「Barack Obama米大統領は6月27日、私の件を巡って『いっさいの外交上の駆け引きを認めない』と世界に向けて宣言した。しかし大統領はその後、私が保護を要請した国々の指導者に亡命申請を拒否するよう圧力をかけることを、副大統領に命じたと報じられた。世界的指導者によるこのようなまやかしは正義ではなく、亡命に対する法の枠を超えた処罰も正義ではない。これらは政治的攻撃の古き悪しき手段だ」と大統領を強く非難。さらに「私は何ら有罪判決を受けていないにもかかわらず、パスポートを無効化され、国籍の無い状態に陥っている。政府は、私が亡命を望むという基本的権利を行使することを妨げようとしている」と述べた。