写真●「SAP Cloud for Customer」の画面例
写真●「SAP Cloud for Customer」の画面例
[画像のクリックで拡大表示]

 SAPジャパンは2013年7月2日、CRM(顧客関係管理)分野の業務を支援するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「SAP Cloud for Customer」を提供すると発表した(写真)。「オンプレミス型のソフトは業務効率化を支援する機能を提供するのに対し、クラウドサービスは新規事業の創出などイノベーションに資する機能を提供する」とSAPジャパンのクラウドファースト事業本部の馬場渉本部長は話す。SAP Cloud for Customerでは、オンプレミス型のソフトとの連携機能なども用意している。

 SAP Cloud for Customerは(1)SAP Cloud for Sales、(2)SAP Cloud for Service、(3)SAP Cloud for Social Engagementの三つのアプリケーションで構成する。(1)はマーケティング支援、(2)は顧客からの問い合わせ管理、(3)はソーシャルメディアを利用したマーケティング支援を提供する。(1)~(3)のいずれも「顧客マスター管理」「製品マスター管理」「販売・サービス分析」の機能を提供。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「フィード」もいずれのサービスからも利用できる。

 オンプレミス型のERP(統合基幹業務システム)パッケージやCRMソフトなどと連携するために、26種類の標準インタフェースを用意。SAPのオンプレミス型のデータ連携ソフト「SAP NetWeaver Process Integration」や、Webサービス経由での連携も可能だ。販売・サービス分析の機能では、100以上のレポートを標準で提供し、タブレットやスマートフォンから利用できる画面も用意した。

 SAP Cloud for Customerの料金は非公表。SAPジャパンは「企業が利用する製品については価格を公表しない」(馬場本部長)方針のためだ。ただし「競合企業が提供する同様のサービスと比較して、十分に競争力のある料金で提供する」(同)としている。

 SAPジャパンはSAP Cloud for Customerを自社のSaaSとして提供するほか、パートナー企業への販売も予定している。パートナーに販売する場合は、SAP Cloud for Customerを実現するために必要なソフトウエアをSAPジャパンがパートナーに提供し、パートナーが自社のデータセンターからSAP Cloud for Customerを基にしたサービスを提供することを想定している。

 SAPジャパンはクラウドサービスの提供に注力。特にSaaSを提供する分野を「People」「Money」「Customer」「Supplier」の四つに分け、段階的に日本市場でSaaSを拡充していく計画を明らかにしている(関連記事:「全てのサービスを日本で提供」、SAPジャパンがクラウド事業に本格参入)。今回のSAP Cloud for Customerの発表はその第一弾に当たる。Customer分野では、SAP Cloud for Customerのほかに、リアルタイム販促支援の「SAP Precision Marketing(旧製品名SAP Precision Retailing)」や、ソーシャルデータ分析の「SAP Social Media Analytics by Netbase」を既に日本市場で提供している。