米政府が密かに通信情報を収集していた問題で、英Guardianは現地時間2013年6月30日、米国家安全保障局(NSA)が日本を含む多数の外国の大使館などを盗聴対象にしていたと報じた。元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏が暴露したNSAの極秘文書から明らかになったとしている。

 2010年9月に作成された同文書には、38の外国大使館および代表部が「ターゲット」としてリストアップされている。盗聴手段は、通信機器に盗聴器を仕掛ける方法から特殊なアンテナで回線を傍受する方法まで多岐にわたるという。

 盗聴対象には、ワシントンやニューヨークにある欧州連合(EU)代表部のほか、一部の中東諸国、フランス、イタリア、ギリシャをはじめ、同盟国である日本、メキシコ、韓国、インド、トルコなどの大使館が含まれる。

 ドイツやフランスなど欧州諸国の政府は、この件について米国に説明を求めている。フランスのLaurent Fabius外相は「これが事実であるなら、まったく受け入れがたい」と非難。ドイツのSabine Leutheusser-Schnarrenberger法務大臣は「報道が真実なら、冷戦時代に敵対国が使っていた方法を思い起こさせる。米国の友が欧州人を敵として見ているとは理解に苦しむ」と述べている(米New York Timesの報道)。

 米Wall Street Journalによると、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどは「親密国」とされ、盗聴対象に含まれていない。なお、Snowden氏はエクアドルへの亡命を希望し、香港からロシアに入国したが、米国が同氏のパスポートを無効にしたため、7月1日現在モスクワで足止め状態となっている。