セコムトラストシステムズは2013年6月24日、サイバー攻撃やサイバー犯罪を防止するため、警視庁と情報連携や操作協力といった共同対処の協定を締結したと発表した。セコムトラストシステムズが実施するサイバー攻撃対処サービスなどに関して、ユーザー企業の承諾を得た上で警視庁への通報や情報共有をしていく。

 従来はこうした協定がなく、警察はユーザー企業からの被害届に応じて捜査を進めていた。ユーザー企業に専門知識がないと被害実態の把握が困難で、警察に通報するためのハードルが高かった。今回の協定に基づき、セコムトラストシステムズによる被害実態の調査と、警察による捜査をつなげていくことで、迅速な対応を目指していく。

 ここ最近、警察はサイバー犯罪に対応するための体制強化を進めている。

 警察庁は6月20日に、サイバー犯罪の初動捜査を効率化する新体制を7月1日に発足すると発表済みだ(警察庁の発表資料:[PDF]サイバー犯罪捜査の効率化等を図るための新たな捜査体制について)。警視庁や都道府県警から派遣される捜査員による「サイバー犯罪特別対処班」を警視庁生活安全部サイバー犯罪対策課に新設する。プロバイダーや金融機関の本社が集中する東京都に初動捜査を一元化することで、サーバーの差し押さえや金融機関とのやり取りなどを効率化する。

 このほか、6月18日には警視庁とウイルス対策ソフトベンダーとの協定締結を新聞各紙が報道している。ただし、この件について警視庁は現時点で正式発表をしていない。警察庁が1月に発表した「サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた緊急プログラム」では、ウイルス対策ソフトベンダーとの情報共有を推進すべき施策に挙げている(警察庁の発表資料:[PDF]サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた緊急プログラム