米Googleが「Street View」撮影車両で個人情報を収集していた問題で、英政府機関の情報コミッショナー事務局(ICO)は現時時間2013年6月21日、データ削除命令を出したと発表した。今後35日以内にデータを削除するよう指示しており、Googleがこれに従わない場合、刑事訴訟も辞さないとしている。

 Googleでは2010年前半、Street View機能に使う画像を撮影する車両でWi-Fiネットワークから個人情報を収集していたことが発覚。同社は社内のエンジニアが誤って個人情報収集コードをプログラムに入れてしまい、意図的ではなかったと釈明した。この問題については米連邦当局や州当局のほか、ドイツや韓国など各国当局が調査に乗り出した。

 2012年4月には米連邦通信委員会(FCC)がGoogleの行為には違法性はなかったとしながも、意図的に調査を妨害したとして2万5000ドルの罰金を科した(関連記事:Google、Street View車両の個人情報収集問題で州当局と700万ドルで和解)。

 ICOは、FCCがGoogleに罰金命令を出した2012年4月に調査を再開した。米Wall Street Journalによると、GoogleはメールアドレスやURL、パスワードといった英国人の個人情報、数千人分を収集していたが、それらが保存された4枚のディスクがあることをICOに報告していた。ところがICOの再調査期間中、5枚目のディスクが新たに見つかった。

 ただ、ICOによると、Googleはそれらのディスクを含む英国人の個人情報が隔離されており外部に漏れていないことをICOに誓約している。ICOは、こうしたことを考慮した詳細な調査の結果、課徴金納付という命令にまでは及ばないと判断した。Googleに対しては、データを削除するよう要請し、新たなディスクが見つかった場合はすみやかに報告するよう命じた。

 なお英Guardianは、Googleの広報担当者が今回の命令を受け、データ削除の手続きを進めると述べたと伝えている。

[ICOの発表資料]