米衛星放送のディッシュ・ネットワークは米国時間の2013年6月18日、米スプリント・ネクステル買収に向けた新たな提案を見送ると発表した。同じくスプリント買収を目指すソフトバンクは買収総額を約15億ドル積み増して約216億ドルとすることで6月11日にスプリントと合意しており、スプリントはディッシュに対して18日までに対抗の最終提案を出すように求めていた(関連記事:ソフトバンクがスプリント買収の条件を見直し、買収額を約15億ドル上乗せ)。

 ディッシュは引き続きオプションを検討するとしているが、新たな対抗案が出なかったことで、ソフトバンクのスプリント買収は大きく前進した。6月25日に予定する株主総会で賛成を得られる可能性が濃厚となった。あとは米連邦通信委員会(FCC)の承認も残るが、対米外国投資委員会(CFIUS)および米司法省(DOJ)の承認で国家安全面の審査は既にクリアしている(関連記事:ソフトバンクがスプリント買収に前進、対米外国投資委員会の審査を通過)。

 ディッシュはクリアワイヤの株式公開買い付け(TOB)に専念する方針を示す。クリアワイヤの取締役会はディッシュのTOBに賛同する旨を発表している一方で、50%強の株式を保有するスプリントはこれを阻止すべくディッシュを提訴する事態に発展している(関連記事:SprintがClearwireへのTOBを巡りDISHを提訴、DISHはSprint買収を断念)。

 ソフトバンク/スプリントにとって、大量の周波数を保有するクリアワイヤは「重要資産」。完全支配権の獲得に向け、激しい争いが続きそうだ。