米Dellの大株主で著名投資家のCarl Icahn氏は現地時間2013年6月18日、1株14ドルの株式買い戻し計画を提案する株主宛ての公開書簡を発表した。また、Dell取締役会の特別委員会が同氏と米Southeastern Asset Managementによる買収案を「著しい資金不足」と指摘したことを受け、「流動性の懸念に応えるための提案」だとしている。

 Icahn氏とSoutheasternは、Dellが2013年2月に合意したMichael Dell最高経営責任者(CEO)と米Silver Lake Partnersを中心とする企業連合による非公開化計画の代替案を5月9日に提示。非公開化計画が1株13.65ドルの買収額であるのに対し、代替案はDellの上場を維持しつつ、株主は1株あたり現金12ドルまたは12ドル相当の追加株式を受け取れるというものだった。しかしDell取締役会の特別委員会は6月5日、Icahn氏とSoutheasternの代替案は約39億ドルの資金不足が見込まれるとの見解を示した(関連記事:Dell特別委員会、「Icahn氏らの代替案は著しい資金不足」と指摘)。

 Icahn氏は、特別委員会の見解を激しく非難。「13.65ドルが著しくDellの価値を過小評価していることを確信した。また、Dell取締役会がわれわれの代替案を非公開化計画より優れていると決して認めないとの結論に至った」と述べ、非公開化計画を阻止する意向を示した。

 同氏は、7月18日の株主総会で反対票を投じるよう株主に促し、非公開化計画が否決された際には新たな取締役メンバーを選出して、取締役会として1株14ドルの株式公開買い付け(TOB)を承認するとしている。TOBに必要な資金は、借り入れ金52億ドルとDellの現金資金75億ドル、Dellの売掛債権売却による29億ドルをあてる。なお、Icahn氏とSoutheasternはTOBに応じないという。

 またIcahn氏は、Southeasternから約7200万株を購入したことも明らかにした。米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、これにより同氏の持ち株比率は8%を超え、Michael Dell氏を除いて最大の株主となる。

 一方Dell取締役会の特別委員会は、「Icahn氏は最初の提案からさらに逸脱している」と批判し、株主に対して引き続き非公開化計画の承認を勧告するとのコメントを発表した。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]

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記事初出時、2段落目の関連記事の引用に誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2013/06/19 14:35]