米国家安全保障局(NSA)が運用している通信情報収集プログラムの問題を告発した元CIA職員のEdward Snowden氏は、現地時間2013年6月17日、英Guardian紙のWebサイトのチャットで読者からの質問に答え、NSAは裁判所の令状なくして米国民の通信を傍受しているなどと述べた。

 Snowden氏によると、NSAは2008年に改正された外国情報監視法(FISA)702条に基づき、日常的に米国人の通信内容を収集しており、これは裁判所の令状なくして行われているという。NSAはこれを「一時的な収集」としているが、結局のところはNSAの職員がその情報を今も持ち続けているという。同氏は「分析官がある電子メールアドレスにターゲットを絞れば、そのアドレスから送られた米国人宛のメールは、IPアドレス、本文、添付ファイルを含めすべてが盗み見られてしまう」などと述べている。

 これに先立つ6月15日に米当局は、NSAが運用している2つの情報収集プログラムに関する文書を公開し、両プログラムは愛国者法(反テロ法)第215条と外国情報監視法(FISA)の702条に基づいて正しく運用されていると主張していた(関連記事:NSAが内容を調べた通話は300件未満、20カ国以上でテロを阻止できた」、米当局が主張)。

 当局によると、外国情報監視法(FISA)の702条に基づく通信データ収集プログラムは、国外の非米国人を対象にするもので、米国市民や国外にいる米国人の通話や電子メールをターゲットにすることは許可されていないという。

 また先ごろ、情報機関の分析官が米国人の国内通話を傍受していると報道されたことを受け、James Clapper米国家情報長官は声明を出し「分析官が“法的に適切な許可”を取らずに国内通話を傍受しているという報道は、事実に反する」と述べていた。

 これについて、米CNETは、米Electronic Frontier Foundation(EFF:電子フロンティア財団)の話として、「Obama政権の一部の高官は、裁判所の令状と“法的に適切な許可”を別のものと解釈している可能性がある」と伝えている。