米Appleは現地時間2013年6月17日、過去半年間の米当局による個人情報開示要請の総数を発表した。2012年12月1日から2013年5月31日までのあいだに、米当局(地域、州、連邦政府を含む)から受け取った顧客情報開示要請は4000~5000件で、対象として指定されたアカウントとデバイスは9000~1万件だった。これには国家安全関連だけでなく、犯罪捜査関連の要請も含まれる。

 米Microsoftと米Facebookも、同様のデータ公表を6月14日に行っている(関連記事:MicrosoftとFacebookが情報開示要請件数を公表、ただし1000単位の総数)。Appleは、米政府が密かに個人情報を収集しているとされる報道を巡り、これら2社や米Googleと同様に国家安全に関する情報開示要請の件数や対応について公表することを許可するよう、米政府に求めていたという。今回、一部データを公開する許可を得て発表に至ったとしている。要請のほとんどは行方不明の子供や自殺の恐れのある人の捜索、強盗事件の捜査など、警察当局からのものだった。

 米政府による個人情報収集に関しては、英紙Guardianが今月初めに、米国家安全保障局(NSA)が米Verizonからユーザーの通話記録を収集していると報道。米紙Washington Postも、NSAと米連邦捜査局(FBI)が「PRISM」と呼ばれるプログラムを通じて大手ネット企業9社のサーバーから直接ユーザーデータを取得していると報じた。その際、9社としてGoogleと傘下のYouTube、Microsoftと傘下のSkype、Facebook、Apple、米Yahoo!、米PalTalk、米AOLの名前が挙げられた。Googleらは、PRISMに関与していないことを証明するために、政府にデータ公表の許可を要求した(関連記事1:Google、「PRISM」を巡る身の潔白を示すため当局にデータ公表の許可を要求、関連記事2:MicrosoftとFacebookも政府に情報開示要請の公表許可を要求、米英メディアが報道)。

 Appleは、6月6日に報道機関から質問を受けるまでPRISMについて聞いたこともなく、同社サーバーへの直接アクセスをいずれの政府当局にも提供していないと述べた。また「当社の法務関連チームはすべての要請を検討し、要請が適切である場合のみ、最小限の情報を当局に提供する」と強調した。なお同社によれば、「iMessage」「FaceTime」で行われる会話はエンドツーエンドの暗号化で保護されているため、見たり読んだりできるのは送信者と受信者当人のみで、Appleが解読することもできない。さらに、ユーザーの位置情報、地図検索、「Siri」での質問なども、個人を特定できる形では保存していないと主張した。

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