ウイングアークは2013年6月17日、支店間やクラウドサービス間などの遠距離通信で、FTPよりも高速にファイルを転送できるファイル転送ソフト「CLOUD TRANSPORTER」を発表した。7月22日に出荷する。BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトの分析データなどをインターネット経由で転送する用途などを、高速に完了できるようにする。価格(税別)は、80万円から。

 CLOUD TRANSPORTERは、Windows上でクライアント・サーバー(C/S)型で動作するファイル転送ソフト。FTP(File Transfer Protocol)と同等の使い勝手を保ちつつ、遅延時間が大きなインターネット環境(ルーターの経由数が多く、そもそも拠点間の距離が長い環境)で、FTPよりも高速に転送できるとしている。同社の実証実験では、日本からアジアや欧州にファイルを転送したところ、FTPと比べて数分の1から数十分の1の時間で転送が完了した。

 遅延が大きなネットワークでも高速にファイルを転送できる理由の一つは、TCPベースではなくUDPベースのプロトコルであること(UDPポート5100番)。パケット損失に対しては、SHA-1のハッシュでデータの完全性を検証し、欠損したパケットだけを再送信する。さらに、通信環境から影響を可能な限り受けないように、独自のアルゴリズム(詳細は非公開)を採用したとしている。

 また、インターネット上で使うことを想定し、データ暗号通信機能を備える。データ暗号化にはAESを使う。相互認証と鍵交換には、公開鍵暗号方式のDiffie-Hellmanを使う。

 クライアントソフトのUI(ユーザーインタフェース)は、GUIソフトとコマンドラインツールの二つ。GUIソフトはFTPソフトと同等の使い勝手を備えるほか、特定フォルダーの監視機能を備え、フォルダー内のファイルが更新されると、これを同期/差分同期できる。一方、コマンドラインツールを使えば、各種の業務ソフトと連携させるなど、ファイル転送をバッチジョブ化できる。稼働OSは、サーバーソフトがWindows Server 2008/2012、クライアントソフト(GUIおよびコマンドライン)がWindows XP/Vista/7/8。