写真●COMPUTEX TAIPEI 2013期間中に行われたセミナー「COMPUTEX TAIPEI Nikkei BP FORUM」
写真●COMPUTEX TAIPEI 2013期間中に行われたセミナー「COMPUTEX TAIPEI Nikkei BP FORUM」
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 米フォード・モーター、ソニー、NECという事業領域が異なる3社が「ICTによる変革」をテーマに講演を行った。COMPUTEX TAIPEI 2013期間中、2013年6月6日に行われたセミナー「COMPUTEX TAIPEI Nikkei BP FORUM」での講演である(写真)。

 フォードは、2012年からCOMPUTEXに初出展、今回が2回目の参加になる。パソコンを中心としたCOMPUTEXへの自動車開発企業の出展は極めて異例である。「フォードは単にクルマの会社だけではなく、技術の会社だ」として、ICT技術を活用した“賢いクルマ”への投資に積極的である姿勢を強調した。

 外部のICT企業やソフト開発者との連携にも積極的である。米マイクロソフトとは、音声コマンドによる車内でのハンズフリー機能「SYNC」で協業したのに続き、スマートフォンとSYNCの連携機能として「AppLink」を提供している。さらに2013年1月の「2013 International CES」でサードパーティ開発者向けの情報提供サイトを開設、同年2月には、自動車企業としては初めて、「GENIVIアライアンス」と呼ばれる車載情報プラットフォームの推進団体に加入している。賢いクルマの例としては、家庭にいるときから自動車で移動する間、場面に応じて適切な情報を提供してくれるようなイメージビデオを紹介した。こうした用途を広げるため、SYNCおよびAppLinkを活用したアプリ開発への参加を呼び掛けた。

 ソニーが紹介したのは、NFC(Near Field Communication)技術。端末やカードをタッチすることで、簡単な情報を受け渡すことができる。講演では、ソニーが議長を務めるなど積極的に参加する推進団体「NFCフォーラム」の活動を紹介したのに続き、スマートフォンやパソコンなど製品への実装、日本での利用状況などを紹介した。

 NFCの実用例としては、タッチを起点とした、水族館や動物園でのスマートフォンへの魚・動物情報の提供や、スピーカーとのワンタッチで、スマートフォンで再生中の楽曲をスピーカーで大音量再生する、場所に応じた設定の簡単な切り替えといった用途を示した。今後の展開としては、日本国内では関心が高まっている省エネへの応用などを紹介した。

 NECの主テーマは、同社が開発した「ExpEther(エクスプレスイーサ)」。同技術は、Ethernetを利用してコンピュータリソースを追加することにより、コンピュータの性能を拡大するもの。「コンピュータと通信の垣根を取り払う技術」という説明だ。同技術の適用領域としては、高価なコンピュータの低価格の拡張や、悪条件下などでのCPUと拡張部の分離などが挙げられた。大阪大学での利用実績があることも紹介された。

 講演では、現在のコンピュータの課題として簡単に拡張できない点を指摘、ExpEtherがその解決策になるとした。単純にコンピュータの台数を増やす方法と比べて、安価かつシンプルに性能拡張できる点をアピールした。さらに、ExpEtherの構成や拡張方法、技術の詳細を紹介した。ExpEtherでは、Ethernetの存在を意識することなく、しかもダイナミックにコンピュータリソースを追加できる。今後の予定としては、有線のEthernetの代わりに無線LANを採用した製品も予定されているという。