写真●Project Loonの実験
写真●Project Loonの実験
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 米Googleは現地時間2013年6月14日、気球を利用したインターネット接続環境構築プロジェクト「Project Loon」を発表した。主に新興国に向けた高速インターネット接続の普及促進を目的とする。

 Googleによると、いまだ地球上の3分の2の人々は手頃な価格の高速接続環境を利用できずにいる。南半球の大半の国では、高速インターネットの利用料が月収を上回るほど高価だ。Project Loonは、高速インターネット接続の構築が困難な地域や遠隔地に廉価な手段を提供することを目指す。日常のインターネット利用だけでなく、自然災害が発生した際の通信手段にも活用できるとしている。

 Project Loonでは、旅客機の高度より2倍高い位置の成層圏風に一連の気球を漂わせ、地上に電波を発信して、現在の第3世代(3G)通信と同等もしくはそれ以上の速度のインターネット接続を提供する。気球は風力と太陽光を動力として利用する。

 同社は今週、ニュージーランドのカンタベリー地方でパイロットプログラムを開始した。気球30個を使用し、ユーザー50人でインターネットにアクセスする実験を行う。Googleはさらにパイロットプログラムの地域を広げる予定で、今後のパートナーを募っている。

 「このアイデアはばかげていると思われるかもしれない。それがProject Loonと名付けた理由でもある。しかし確かな科学に裏づけされている」と同社は述べている。なお、「loon」には「ばかげた考えを持った人」「頭がおかしい人」といった意味がある。

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