日立製作所は2013年6月13日、通信事業者向けルーター「GR8600シリーズ」を7月に発売することを明らかにした。9月に出荷を開始する予定。NECとの合弁子会社であるアラクサラネットワークスが2012年6月に発表したルーター「AX8600Rシリーズ」をベースに日立製作所が独自に拡張した製品となる。

 新機種の前身となる「GR4000シリーズ」は主にブロードバンド網のエッジルーターとして使われた。GR8600シリーズはサポート終了を迎えるGR4000シリーズを置き換えるとともに、新たな事業者やサービスでの採用を目指す。

 特徴は大容量、柔軟性、高信頼の3点。容量面ではバックプレーンをモジュール化することで、バックプレーン容量を将来的に10Tビット/秒以上に拡張できるようにしている。発売当初のモジュールでは最大6.4Tビット/秒までの拡張となる。100Gビット/秒のイーサネットに対応するほか、16Uサイズで最大384本の10Gビット/秒のイーサネット回線を収容できる。インタフェースカードには4分の1スロットサイズの製品も用意し、異なるインタフェースを効率良く混載できるようにしている。

 柔軟性はルーターのハードウエアアーキテクチャーによるもの。データ転送を受け持つ「フォワーディングエンジン」と高機能サービスを担当する「プログラマブルエンジン」に分離して、転送速度に影響を与えずに機能を付加できるようにした。付加機能としては、トラフィック分析、DPI(Deep Packet Inspection)、SDN(Software Defined Networking)、キャッシュ、セキュリティ、WANアクセラレーターなどを計画している。これらの機能は通信事業者のニーズに合わせて日立製作所が独自開発したもので、ベース筐体となるAX8600Rシリーズにはない。

 信頼性はAX8600シリーズと同様となる。通信事業者向けルーターとしての冗長構成のほか、ハードウエア処理を用いたフォールトトレラント構成を組める。

 標準価格は大型モデルの「GR8632」が最小構成で3900万円から(税抜き、以下同)、中型モデルの「GR8616」は3800万円から。小型モデルの「GR8608」は製品計画段階である。想定出荷台数は年間数百台を見込む。ルーターだけを売り込むのではなく、サーバーによる分析、制御、運用監視も含めたソリューション製品として販売していく計画だ。

■変更履歴
記事初出時、3段落目で「最大386本」としていましたが、正しくは「最大384本」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2013/06/13 22:25]