米セールスフォース・ドットコムは2013年6月13日、国内の会計事務所向けにクラウド型会計システムを提供するアカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS)に出資したと発表した。A-SaaSは現在、独自のプラットフォームでサービスを展開しているが、今後はセールスフォースのPaaSである「Force.com」へ移行することになる。移行期間は約6カ月を見込む。

 A-SaaSへの出資は、セールスフォースのほか、グリーベンチャーズ、モバイルインターネットキャピタルおよび既存の投資家による共同出資の形を取る。A-SaaSは2009年6月に設立された会計事務所向けシステムに特化したクラウドサービス提供事業者。会計事務所のIT化は他業界より早かったが、既存のシステムは数社が寡占する状態となっている。会計事務所にとっては、税制や法制度の改正のたびに発生するシステム対応などのコスト負担が重い、顧問先企業が様々な会計システムを使っているため事務所側のデータの入力の負荷が大きいといった問題がある。

 現在国内には約3万2500の会計事務所があり、うちパッケージシステムを提供している上位3社がおよそ8割のシェアを握っているという。こうした中、A-SaaSは会計事務所向けシステムをクラウドサービスとして提供することで会計事務所側の機器コストや運用コストを削減するだけでなく、各会計事務所の顧問先企業に対しても無償で連携する経理アプリを提供し、会計事務所のデータ入力などの負担軽減を狙う。

 A-SaaSは2017年までに5000事務所への導入を目標としている。各会計事務所は1事務所当たり約130社の顧問先を抱えているため、5000件導入すると顧問先企業はトータルで約65万社となる。つまり、A-SaaSがプラットフォームをForce.comに移行することで、セールスフォースは会計事務所を足がかりにして、約65万社の中小企業などにリーチできる可能性が生まれることになる。