日本におけるIFRS(国際会計基準)適用の在り方に関して議論している金融庁企業会計審議会は2013年6月12日、総会・企画調整部会合同会議を開催した。前回の合同会議(関連記事:日本版IFRS「J-IFRS」に議論噴出、金融庁企業会計審議会が開催)からわずか2週間後に開催した今回は、前回示した(1)IFRS任意適用要件の緩和、(2)IFRSの適用の方法(エンドースメント/カーブアウト)、(3)単体開示の簡素化について、論点を改めて整理・提示した。

 来週、開催する合同会議で、IFRSに関わる一連の議論をまとめた報告書案を提示する予定だ。金融庁は「報告書でIFRSの強制適用(アドプション)についても書かないわけにはいかない」として、強制適用についても何らかの形で言及する考えを示した。

任意適用要件から「上場」「国際的な財務/事業活動」を撤廃

 今回の会議で、(1)のIFRS任意適用要件の緩和については、(a)上場している、(b)IFRSによる連結財務諸表の適正性を確保する取り組み・体制整備をしている、(c)国際的な財務活動または事業活動を行っている、という三つの条件のうち、(a)と(c)を撤廃する案を示した。これにより、非上場企業や、海外に資本金20億円以上の連結子会社を持たない上場企業も、(b)を満たしていればIFRSの適用が可能になる。

 (1)に対しては前回と同様、特に反対意見はなかった。委員の一人である日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEOの斉藤惇氏は、「IPO(株式公開)を計画する企業はもちろん、我々にもメリットがある。資本金20億円以上の海外子会社を持たないので、IFRSで開示したくてもできなかった。米国以外の世界の取引所はIFRSを採用している」と語った。

J-IFRSは強制適用を前提としたものではない

 (2)のIFRSの適用の方法は、前回もっとも議論を呼んだもの。IFRSを構成する個々の基準に関して「自国で採用できるかどうか」を判断し、自国で受け入れられないIFRSの基準を除外するエンドースメント/カーブアウトの方向性を示したものだ。議論では、IFRSそのものである「ピュアIFRS」と比較して、「エンドースメントIFRS」あるいは「J-IFRS(日本版IFRS)」と呼んでいる。

 今回、(2)について、一部の基準を修正できるエンドースメントの仕組みが必要であり、「エンドースメントされたIFRSは、日本が考える『あるべきIFRS』を国際的に示す」前向きの取り組みとする案を示した。加えて、エンドースメントIFRSは強制適用を前提としたものではなく、あくまで任意適用企業を対象としたものである、カーブアウトまたは修正する項目は「合理的に説明できる範囲に限定すべき」、といった方向を示した。