日本銀行は、システムの不具合により2013年5月8日に発生した国債の流動性供給入札の結果発表遅延について、原因を明らかにした。システム内で、あるデータを受け取ったかどうかを判定する処理にあいまいな条件が含まれており、本来は正常にデータを受け取っているにもかかわらず「システム自身がデータを受け取っていないと誤認してしまった」(日銀 システム情報局)ことで、その後の処理を正常に実施できなかった。

 5月8日に発生したトラブルとは、流動性供給の入札結果の発表時刻が、本来の12時45分から14時30分に遅延したというもの。通常は12時に金融機関からの入札を締め切った後、15分以内に「募入決定のための参考資料」を財務省に送り、同省が入札結果を発表することになっている。しかし、同日はシステムの不具合により、この募入決定のための参考資料をシステムで作成することができなかった。このため、一部を手作業で実施したことで、発表時刻が遅延した。日銀 システム情報局は「ご心配とご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ない」と語る。

 募入決定のための参考資料は、日銀ネットとは独立した専用のシステムにより作成している。06年3月から稼働したシステムで、ここにプログラム上の不具合が内在していた。具体的には、金融機関からの入札データは通常、一度、日銀ネットに入り、その後、それを専用システムに送って集計している。同日は、日銀ネットから専用システムに対して入札データの送信は正常に実施できたが、専用システム側がデータを受け取っていないと誤認した。

 募入決定のための参考資料を作成する専用システムには、日銀ネットから入札データを受け取ったかどうか、条件に基づいて判定する処理があった。この条件判断にあいまいな面があったという。正常にデータを受け取っていても、きわめて稀な条件で、受け取っていないと判定してしまう形になっていた。この不具合は06年3月の稼働以来、システムに内在していたが、稀にしか発生しない条件だったため、これまでは障害として顕在化しなかった。

 日銀はトラブルの翌日の13年5月9日までに原因を究明し、専用システムを改修。条件判断についてあいまいな部分を取り除いた。なお、この不具合は仕様に起因する不具合ではなく、実装上の不具合という。

■変更履歴
記事中の一部日付を修正しました。[2013/06/13 14:00]