米Appleが主催する世界開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2013」が米カリフォルニア州サンフランシスコの「Moscone Center」で現地時間2013年6月10日に開幕した。初日の基調講演の様子をAppleのストリーミングビデオ米Engadget米The Vergeの報道をもとにお伝えする。

 会場が暗くなり、テキストだけのビデオが流れる。製品開発におけるAppleの姿勢を伝える内容。ビデオが終了するとTim Cook最高経営責任者(CEO) が登場。出席への感謝の意を伝え、「WWDCのチケットは71秒で完売」など、盛況ぶりをアピールする。

 いつものように、まずは直営店「Apple Store」の最新情報から。14カ国に407店舗を展開し、直近ではドイツのベルリンに新店舗をオープンした。ベルリン店のビデオを上映。

 続いて「App Store」に関する報告。立ち上げから50億ダウンロード達成、90万種類のアプリケーションを提供。そのうち37万5000が「iPad」向け。アカウント登録は5億7500万人。開発者に支払われた金額は100億ドル。

 続いて、iOSデバイスを使った人工知能(AI)ロボット技術を手がけるスタートアップ、米Ankiを紹介する。同社CEOのBoris Sofman氏が登場し、ミニレーシングカーのデモを行う。複数のミニカーがセンサーでコースと互いを認識し、「iPhone」と通信しつつ自律走行する。Ankiのアプリは本日公開。

Mac OS X新版はカリフォルニアの地名「Mavericks」

 Cook氏がSofman氏と交代し、「次は『Mac』について話したい」とMac関連のデータを報告。Macのインストールベースは7200万台。過去5年間でMacの成長率は100%増、対するPCは18%増と比較する。「Mac OS X Mountain Lion」は2800万コピーが出荷され、Mac OSで最も販売されている。

 ソフトウエアエンジニアリング担当上級バイスプレジデントのCraig Federighi氏が登場し、Mac OS X新バージョンを紹介する。Mountain Lionの次は「Sea Lion?」とアシカのロゴがスクリーンに表示される。これは冗談で、実際の名称は「OS X Mavericks」。Federighi氏によれば、次の10年を考えてカリフォルニアをテーマにした名前を付けた。

 OS X Mavericksの特徴的な機能として、「ファインダータブ」「タグ」「マルチディスプレイ」の3つを挙げる。Federighi氏がデモを行ってみせる。

 複数開いたウインドウを1つにまとめ、タブで切り替えできる。ドキュメントを保存する際にタグを付け、ファインダーでタグ別に見やすく表示する。2つのディスプレイ間でウインドウを移動し、各ディスプレイで別々のアプリケーションを立ち上げてそれぞれ独立した「Dock」で操作し、それぞれフルスクリーン表示して独立した「Mission Control」で管理する。「Apple TV」経由のディスプレイも3つ目として加え、フルスクリーンのアプリケーションをディスプレイ間で移動させてみる。

写真●OS X Mavericksの新機能「ファインダータブ」
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 次にバッテリー寿命を効率化する技術「App Nap」について説明。CPUの使用量を最大72%低減し、非アクティブなメモリーを圧縮するという。

 続いて「Safari」の強化。サイドバーにブックマーク登録や「あとで読むリスト」を表示する。読み込みやスクロールの速さも含めてデモで紹介する。あとで読むリストは、1つの記事のページを最後までスクロールすると、続いて次に登録しておいた記事が表示される。

 新機能「iCloud Keychain」はWebサイトのログイン、クレジットカード番号、Wi-Fiアクセスなど、さまざまなパスワードを暗号化してクラウド保存する。

 その他、通知機能では「FaceTime」の通話に直接応えたり、iOSへのプッシュ通知をMacで受けたりできる。カレンダー機能はデザインを刷新し、地図アプリケーション「Maps」はMacで指定したルート案内をiPhoneに送れる。そして「iBooks」をMacにも導入することを明らかにした。

 OS X Mavericksは開発者向けにプレビュー版を本日提供する。一般向けリリースは秋になる。