包括的な連携に関する覚書を交わす川崎市の阿部孝夫市長(左)とインテルの宗像義恵取締役副社長
包括的な連携に関する覚書を交わす川崎市の阿部孝夫市長(左)とインテルの宗像義恵取締役副社長
[画像のクリックで拡大表示]

 川崎市とインテルは2013年6月7日、情報通信技術の活用による産業振興と教育の充実を目指すための包括的な連携について合意した。同日川崎市内で、阿部孝夫市長とインテルの宗像義恵取締役副社長が覚書を取り交わした。

 合意した連携案件は4つ。(1)川崎市産業振興財団が主催する「かわさき起業家オーディション」に「インテル賞」を創設する、(2)市の中小企業の海外展開についてインテルが協力する、(3)市が新設する「産業と福祉のプラットフォーム」にインテルが参加する、(4)市が2014年に開設を予定している市立中高一貫教育校(川崎高等学校附属中学校)についてインテルが支援する、の4項目である。覚書の有効期間は1年で、必要に応じて延長する。

 中でも(4)について、阿部市長は「川崎市は中高一貫教育校を新設するという新たな取り組みを始める。新設校では、情報通信技術を活用した先進的な教育を推進する。その準備を進める中で、インテルから支援の申し出があった」と経緯を説明した。

 宗像副社長は「インテルはグローバルでの社会貢献事業として教育への支援を掲げており、既に日本でも実績がある。川崎市との取り組みをモデル化してグローバルに広げていきたい」と述べた。

 当面の施策として、インテルが開発したITを駆使した教育を担う教員向けのカリキュラム「Intel Teach」を、新設校に配属される川崎市の教員全員(15人程度を予定)に無償提供する。教員はIntel Teachプログラムを通じて、パソコン・タブレットや電子黒板などのIT機器を活用した授業の進め方や、生徒のIT機器・情報社会への理解を促進できる教育手法などを習得する。

 川崎市の新設校は生徒全員にモバイルコンピューターを携帯させるなど、IT関連の備品・設備を充実させる方針を掲げている。今後、こうした機器に関してもインテルが支援することを検討していく。

 インテルは教育分野で、埼玉県教育委員会などとも同様の連携施策を実施している(関連記事)。Intel Teachを受講した教員数は国内だけで延べ4万人以上に及ぶという。