写真1●国語の授業でタブレットを利用
写真1●国語の授業でタブレットを利用
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写真2●前方の大型ディスプレーに、児童のタブレット内容を無線LAN経由で表示できる
写真2●前方の大型ディスプレーに、児童のタブレット内容を無線LAN経由で表示できる
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写真3●算数の授業ではタブレットを使って、乗り物の種類別に台数を数えた
写真3●算数の授業ではタブレットを使って、乗り物の種類別に台数を数えた
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写真4●先生は大型ディスプレーを黒板代わりに使う
写真4●先生は大型ディスプレーを黒板代わりに使う
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写真5●内田洋行の大久保昇専務取締役執行役員
写真5●内田洋行の大久保昇専務取締役執行役員
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 2013年6月8日、教育関係者向けのイベント「New Education Expo 2013」で、未来の教室「フューチャークラスルーム」を使った公開授業が実施された。筑波大学附属小学校の児童40人と先生が、1人に1台配布されたタブレット端末を利用して授業を行った。

 既に同校の児童は、6月初めから学校内にあるフューチャークラスルームで学び始めている。公開授業は立ち見が出るほどの盛況で、300人もの大人が詰めかけたが、先生と児童はタブレットを使いながら、ごく普通に授業を進めた。

 フューチャークラスルームは内田洋行が提供する次世代の教室空間のこと。内田洋行はこのフューチャークラスルームを使い、筑波大学附属小学校と共同で「未来の教室」の実証研究を進める。日本マイクロソフトと富士通が協力する。タブレットは、Windows 8を搭載した富士通のタブレット「STYLISTIC Q702/F」を使う。

 公開授業は2コマ。最初は4年生の国語で、次が3年生の算数だった。

 国語では、タブレットに表示されたデジタル教科書を使い、みんなで教材を読みながら、タブレットに付属するペンで文章に線を引いたり、丸で囲んだりしながら、自分の意見を発表していった。学習意欲が高い子供たちばかりで、みんな堂々と手を上げて、「私はこう思った」と発表していく(写真1)。

 タブレットを自然に使いこなし、電子機器を珍しがったり違和感を訴えたりする様子は全くない。3人1組になって、タブレットを見ながら児童が話し合う姿も頻繁に見られた。

 未来の教室とはつまり、タブレットのようなデジタルデバイスが当たり前のように教育現場に取り入れられている姿を意味することを実感させられた。間違っても、物珍しい機器が並び、子供たちが驚いて目を丸くする部屋が未来の教室ではない。子供たちにとってタブレットは既に見慣れた教材の1つであって、教科書や文房具と同じものだ。

 おそらく児童たちの親の多くは30~40代で、スマートフォンやタブレットを持っている。今の子供たちにとっては、そもそも特別なものではない。

 違いがあるとすれば、タブレットは教科書にもノートにもなること。フューチャークラスルームは無線LANに対応しており、先生は前方の大型ディスプレーに児童のタブレット内容を無線で呼び込んで表示できる。この点は従来の教室にはないだろう。児童は大型ディスプレイを通して、お互いに線を引いたところなどを見せて、話し合える(写真2)。

 続いて、算数。先ほどより一学年下の3年生が授業を受けた。この日の内容は、大型ディスプレイに流れる道路のアニメーション映像を見て、どんな種類の乗り物が何台走っていたのかを数えるというもの。車やバイクはかなりのスピードで走っていくので、児童はどうすればうまく数えられるのかを考えて、発表していく。

 この場合、タブレットはまさにノート代わり。子供たちは車を数えながらタブレットに○印を付けたり、「正」の印を付けたりして、大はしゃぎで台数を数えていた(写真3)。こうしたゲーム感覚の授業にタブレットが向いているのは確かだろう。

 算数の先生も国語の先生と同じように、時々児童のタブレットの様子を大型ディスプレイに映したり、みんなが数えた車の台数を集約するために、大型ディスプレイを黒板代わりに使ったりしていた(写真4)。

 公開授業の後、内田洋行は記者会見を開いた。大久保昇専務取締役執行役員は「フューチャークラスルームで使っている技術はどれも、既にあるものばかりだ。教育現場でどう使っていけるかを実証研究で確かめて、他の学校にも広げていけるようにしたい」と話した(写真5)。

 実は、筑波大学附属小学校の「未来の教室」はまだ構築途中であり、2013年6月下旬にも完成する予定だという。今後は実際の教室で公開授業も計画している。教科ごとにタブレットなどをどう使えるか、研究していくという。