写真●米ビッグ・スイッチ・ネットワークス最高経営責任者(CEO)のグイド・アッペンツェラー氏
写真●米ビッグ・スイッチ・ネットワークス最高経営責任者(CEO)のグイド・アッペンツェラー氏
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 SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)ツールのベンダーである米ビッグ・スイッチ・ネットワークスが2013年6月5日(米国時間)、SDNツールをOSS(オープンソース・ソフトウエア)として開発する「OpenDaylightプロジェクト」の役員会から離脱することを発表した。米シスコ・システムズ製ソフトウエアをベースにSDNコントローラーを開発する方針に反発した。

 同社最高経営責任者(CEO)のグイド・アッペンツェラー氏(写真)が同社のブログで明らかにした(関連サイト)。

 OpenDaylightプロジェクトは、米Linuxファウンデーションが2013年4月に発表したSDNツール開発のプロジェクトである(関連記事:SDN用ツールを呉越同舟で開発へ )。同プロジェクトでは、SDNコントローラーを開発するに当たって、ビッグ・スイッチが2011年からOSSとして公開してきた「Floodlight」と、シスコが今回プロジェクトに寄贈したSDNコントローラーをどう統合するかを議論してきた。

 同プロジェクトが、シスコ製のソフトをベースにすると決定したことから、ビッグ・スイッチはOpenDaylightプロジェクトのプラチナメンバーや役員会から離脱し、Floodlightの独自開発を継続することにした。

 アッペンツェラーCEOはブログで「コミュニティーでは、新しいSDNコントローラーを最初から開発し直すべきという意見が多かった」とし、プロジェクトがコミュニティーと反する決定を行ったことを、プロジェクトの離脱に挙げた。

 さらに「市場が(SDNに)期待しているのは、『ベア・メタル・スイッチ』や『ホワイト・ボックス・スイッチ』だ」と述べ、SDNとはネットワーク機器のコモディティー化を推進する取り組みであると定義したうえで、既存のネットワーク機器ベンダーがSDNを主導するのは不可能だと主張した。

 例えば、ビッグ・スイッチが取り組む「OpenFlow」規格のSDNでは、ネットワーク機器に必要な様々な機能は、ネットワーク機器とは別のPCサーバー上で稼働する「OpenFlowコントローラー」と呼ぶソフトで実現する。

 そのため、OpenFlowではネットワーク機器のハードウエアはシンプルになり、低価格化が見込める。アッペンツェラーCEOは「(高価なネットワーク機器を販売するという)レガシー・ビジネス・モデルに依存しているベンダーに、このような破壊的なイノベーションは期待できない」と述べ、シスコや米ジュニパーネットワークス、米IBMといった既存のネットワーク機器ベンダーが多く参加するOpenDaylightプロジェクトから距離を置く姿勢を見せた。