デルは2013年6月7日、医療グループの徳洲会がデルのソリューションを活用し、電子カルテデータをリアルタイムでバックアップする環境を構築したと発表した。

 徳洲会は、国内で66病院を含む280以上の医療施設を運営し、救命救急医療、予防医療、慢性医療、先進医療などを展開している。2009年10月には、徳洲会グループを情報システム面で支援する企業として徳洲会インフォメーションシステムを設立。現在、66病院のうち47病院で電子カルテオーダリングシステムが稼働している。

 同病院の電子カルテプラットフォームは、Windows Server、Microsoft SQL Server、Windowsクライアント製品をベースとしている。デルは今回、電子カルテデータの遠隔地バックアップシステムの構築にパートナーとして取り組んだ。デルとパートナーシップを結んだ理由として徳洲会インフォメーションシステムは、デルがオープンな標準技術をベースとし、柔軟でコストパフォーマンスの高いプラットフォームを提供していることを挙げている。

 47病院における電子カルテデータのバックアップ環境が完成したのは3月。データセンターのバックアップサイトには、Windows Server 2012を搭載した「Dell PowerEdge R720xd」と「Dell PowerVault」シリーズを採用した。Microsoft SQL Server 2012をレプリケーションすることで、病院ごとに電子カルテサーバーのデータが徳洲会のVPN回線を介してリアルタイムにバックアップされている。現在バックアップ対象となっているのは検査データや処方データのみだが、今後は放射線検査画像などの大容量データも遠隔地バックアップを検討していく予定だという。

 また徳洲会は、グループ内での電子カルテシステムの統合や医療データのマスターコード統一に取り組んでおり、現在約9割のコードを統一、全66病院の経営データを一元管理して分析できる情報基盤を構築している。分析対象としているデータは、経営指標、臨床指標、医療安全、患者満足度、部門業務量、各種統計指標など。診療行為別統計や薬剤構成比、手術コスト算出といった経営指標データの分析は病院経営の効率化に活用し、病院滞在時間調査と分析は患者サービスの向上に活用している。

 今後徳洲会では、デルと共に情報基盤を強化し、診療情報データベースに蓄積されたビッグデータを活用して患者サービスをより向上させたいとしている。